2020 Fiscal Year Research-status Report
Meflinをマーカーとした免疫チェックポイント阻害薬効果増強法の開発
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20K22807
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮井 雄基 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90883538)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | がん / がん間質 / がん関連線維芽細胞 / がん免疫治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な悪性腫瘍に対して免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor; ICI)の適応が拡大されているが、臨床上の問題点として奏効する患者の予測が依然として困難であることが挙げられる。遺伝子変異量や腫瘍浸潤リンパ球プロファイル、あるいは血球・血清バイオマーカー等様々な手法による奏効率予測が試みられているものの、高精度で簡便な予測法、あるいはその情報に基づいて奏効率を人為的に向上させる治療法は未開発である。研究代表者は最近、非小細胞性肺がんの間質組織に存在するがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblasts; CAF)の新規マーカーとしてロイシンリッチリピートを有するGPIアンカー型膜分子Meflinを同定し、Meflin陽性CAFの存在量がICIの奏効率と極めて高い相関を示すことを見出した(論文未発表)。本研究の目的は(1)CAFにおけるMeflin発現の増強がICIの効果の上昇に結びつくことをマウスモデルで示し、次に(2)Meflin陽性CAFを薬剤で増加させることで高いICI奏効率を得られる可能性について臨床応用も視野に入れて検証することである。 目的(1)に関して、Doxycycline(DOX)依存的にMeflinを過剰発現するトランスジェニックマウスを作出し、これに大腸癌細胞株MC-38細胞を移植後に抗マウスPD-1抗体で治療すると、コントロール群と比較して有意に主要縮小効果が得られることが判明した。 目的(2)に関しては、別の研究者らによって同定されたMeflinの発現を上昇させる低分子化合物Aを、予め投与したマウスに膀胱癌細胞株MB49を移植し抗PD-L1で治療すると、対照群に比して低分子化合物Aを投与したマウスで腫瘍縮小効果が得られる傾向があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究成果は以下の通りである。 目的1: CAFにおけるMeflin発現の増強がICIの効果の上昇に結びつくことをマウスモデルで証明する Doxycycline(DOXY)依存的にMeflinを過剰発現するトランスジェニックマウス(Tg. TRE-Meflinマウス)を作出し、最適なトランスジェニックラインを選定した。Meflin遺伝子プロモーター下にCre組み換え酵素を発現するマウス(Meflin-Creマウス)およびCre組み換え酵素発現下にrtTA3を発現するマウス(Rosa26-CAGs-LSL-rtTA3)との交配により、DOXY投与下にCAFでMeflinを過剰発現するマウスを作出した。MC-38細胞を移植後、抗マウスPD-1抗体で治療し、腫瘍縮小効果および生存期間を評価した。腫瘍組織内でのMeflinの発現をin situ hybridization(ISH)および定量的PCRで検証した。 目的2: 低分子化合物によるMeflin発現の上昇が腫瘍免疫応答を増強する可能性について検証する 野生型およびMeflin欠損マウスの膀胱癌細胞株MB49移植モデルを用いて、低分子化合物ライブラリーのスクリーニングにて同定された低分子化合物Aを投与することで抗マウスPD-1抗体の効果を増強させる得ることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、前述した目的を達成するために以下の研究について実施計画している。 目的1: CAFにおけるMeflin発現の増強がICIの効果の上昇に結びつくことをマウスモデルで証明する 既に得られている臨床データと今回得られたデータとを併せて論文発表を進める。また、Meflin陽性CAFがどのように腫瘍免疫を「促進」しているのかは現時点でも不明であり、申請書で述べた計画以上に進展させ、そのメカニズムの端緒を明らかにしていく予定である。 目的2: 低分子化合物によるMeflin発現の上昇が腫瘍免疫応答を増強する可能性について検証する 低分子化合物ライブラリーのスクリーニングにて同定された低分子化合物Aの投与経路、投与量、投与のタイミングなどの最適化を行う。また、既存のビタミンD/Aの効果と比較も行う。さらに、他の細胞株も用いて複数のがん種でコンセプトを証明する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で旅費での使用がなく、また物品購入の端数として生じたものである。 今年度の物品購入に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)