2020 Fiscal Year Research-status Report
超高線量率マイクロビームX線を用いた難治性腫瘍への新規がん治療法の開発
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20K22812
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江本 裕樹 神戸大学, 医学部附属病院, 特命技術員 (10882863)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 放射光 / マイクロスリットX線照射 / FLASH Radio Therapy |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウィルス感染症の影響もあり、SPring-8での放射光照射実験が実施できなかった。しかしながら、動物実験における腫瘍モデルの作成や、肺転移モデルマウスの作成は問題なく実施できており、未治療での生存期間の検討などを実施した。放射光の照射実験が実施できれば非常に有用な実験データが得られると考えられる。 腫瘍モデルの生着期間や生存期間は癌種によって異なるが、ヒト膵癌由来のMIAPaca2では生着までやく3週間、生存期間は生着後約1か月であり、生着後なるべく早い段階での放射光照射が治療に有用だと考えられる。 肺転移モデルマウスの作成では生着まで約1か月、生存期間は約3か月でありこちらも腫瘍モデルと同様に生着後期間を空けずに照射実験を行う予定である。 SPring-8での放射光照射実験までに、神戸大学医学部にある放射線照射装置においても照射実験を行い、放射光と通常のX線照射装置における線量率の違いによる抗腫瘍効果の検討を追加し、FLASH Radio Therapyの抗腫瘍効果や正常組織反応の解明の一助になるよう検討を加える。 さらに、効率的なマイクロスリットビーム照射を行うためのコリメータの検討も実施しており、次年度はその開発も並行して実施していく予定である。コリメータの開発により、より多様な線量設定が可能となり、より詳細にFLASH Radio Therapyが検討可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響もあり、SPring-8での放射光照射実験が実施できなかったことが計画の遅れに響いていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光照射実験を実施できるよう、SPring-8に実験計画の申請を行っている。採択されれば2021年後半での実験実施であり、新型コロナウィルス感染症もある程度終息し、実験可能になることを期待している。
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Causes of Carryover |
SPring-8での実験がなかったため、今年度は研究費を使用しなかった。腫瘍モデルの作成などは研究室の別の研究と重複している部分もあり、そちらの研究費を使用することとしたため、全額次年度への繰り越しとなっている。SPring-8での実験が再開されれば、多くの動物数での検討となるため、2年分の研究費ではあるが使用可能であると考えられる。
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