2021 Fiscal Year Research-status Report
膵臓内細菌と腺房導管異形成に着眼した膵癌発生メカニズムの解明
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20K22813
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
赤穂 宗一郎 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00882854)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 膵腺房導管異形成 / 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度実績として①ヒト膵癌手術検体における細菌叢解析 ②exVivo膵腺房導管異形成モデルの確立 を行った。 ①令和2年度に引き続きヒト膵癌手術検体において免疫染色を行い膵腺房導管異形成を同定を完了し、膵腺房導管異形成が多い症例と少ない症例を抽出した。また、膵癌組織のパラフィン包埋切片から抽出したDNAの細菌叢解析をおこなった。解析を行った症例において膵癌組織内で認めるBetaproteobacteria、Gammaproteobacteria、Alphaproteobacteriaを検出したが本研究の要となる膵腺房導管異形成の多い症例と少ない症例で差を認めなかった。原因として抽出可能なDNA量が少ないためと考えられ、十二指腸からのDNAによる検討を行っている。 ②野生型C57BL/6Jマウスより膵腺房細胞を単離し実際に膵腺房導管異形成が起こることを証明する実験を行った。野生型マウスBCL6Jマウスの膵腺房細胞を単離培養しTGFaを添加することで膵腺房導管異形成を誘発することが形態変化として確認した。本実験をpositive controlとして今後膵腺房導管異形成の原因候補となる細菌を加えた状態で実際に膵腺房導管異形成が起こることを確認する予定である。 この他、本研究では膵癌モデルマウスを用いた研究を予定しているが、こちらについては現在マウスの入手が可能な状態にある。今後の研究推進方針に記載のごとく食餌性肥満モデルマウスを用いる実験を予定しているが、こちらは動物実験が可能な段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト膵癌手術検体を用いた実験について 膵癌組織のパラフィン包埋切片よりDNAを抽出し細菌叢解析を行ったが、細菌量が少なく本研究の要となる膵腺房導管異形成に関わる細菌を同定するには至っていない。これは既報と同じ方法を用いているものの膵臓に存在している細菌量そのものが少ないことが原因であると考えた。よって、今後はヒト膵癌検体においては十二指腸からのDNA抽出により行う。また、食餌性肥満モデルマウスでは膵腺房導管異形成が形成されることが分かっているため、マウスの十二指腸の細菌叢解析も並行して行うことで細菌量の問題を解決可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト臨床検体において膵癌手術検体のパラフィン包埋切片で十二指腸粘膜からDNAの採取を行う。またパラフィン包埋切片より抽出可能な細菌のDNA量は少ないため、そのため今後ヒト臨床検体とともにマウスにおける十二指腸からのDNA抽出を行い、膵腺房導管異形成を起こす可能性のある細菌を同定する。既報論文より食餌性の肥満モデルマウスでは腸管細菌叢が変化し膵腺房導管異形成が起こることが報告されているため、食餌性の肥満モデルマウスを作成し細菌叢の経時的な変化を調べこちらでも膵腺房導管異形成を起こす細菌を同定する。同定された細菌をターゲットとした抗生剤を用いて膵癌モデルマウスに投与し実際に膵癌発生の抑制が可能であることを確認する。また、膵腺房細胞にターゲットの細菌もしくは細菌毒素を添加し膵腺房導管異形成が起こることを確認する。
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Causes of Carryover |
当初は令和3年度にマウスを用いた実験を行う予定であった。しかし、ヒト膵癌組織検体を用いた実験の遅延に伴い、マウスに関する実験開始時期がずれ込んだため次年度使用額が生じた。令和4年度に次年度使用額を用いてマウスを用いた実験を行う予定である。
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