2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規治療法開発を目論んだ多発性骨髄腫におけるMyD88の病態修飾機構の解析
Project/Area Number |
20K22819
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中村 元 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10792666)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | MyD88 / 多発性骨髄腫 / ST2825 |
Outline of Annual Research Achievements |
MyD88(Myeloid differentiation primary response gene 88)はNF-kBシグナル伝達経路関連因子をコードする遺伝子で、MyD88に変異が生じるとNF-kB経路が恒常的に活性化され、リンパ増殖疾患を発症すると考えられている。例えば、原発性マクログロブリン血症の約90%の症例において、MyD88 L256P 変異が認められることが報告されており、IgM MGUSにおける腫瘍化のイニシエーションであることが指摘されている。一方で、その類縁疾患である多発性骨髄腫(MM)においてMyD88が、MMの病態生理に与える影響は不明である。近年、多くの新規MM治療薬が臨床導入されているが、再発難治例は未だ予後不良であり、治癒を期待できる治療薬の開発が急務である。そこで今回、治療ターゲットとしての可能性を念頭に、MyD88のMM細胞における機能解析を進めた。まず第一に、bioinformatic analysisの結果からMMにおいてMyD88高発現群では有意に予後が不良であった。また興味深いことに、MyD88遺伝子変異がMMでは極めて稀であることを明らかにした。さらに、MyD88阻害剤であるST2825が複数のMM細胞株において濃度依存的なアポトーシスを誘導することを示し、その機序として細胞内活性酸素種が関与していることを証明した。本研究結果からST2825が将来的にMMにおける有望な治療選択肢となりうることを示し、現在論文投稿中である。
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