2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫チェックポイント分子を応用したミセル型ナノ粒子ポリマーワクチンの創出
Project/Area Number |
20K22823
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
塚本 昌子 日本大学, 医学部, 専修指導医 (80570910)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な抗がん剤やがんワクチンが臨床応用されているが、進行した腫瘍では免疫細胞の疲弊化や制御性T細胞の増加など局所環境が免疫抑制状態に陥る『がん微小環境』による無効化が障害となっている本研究では『がん微小環境』を打破するために、腫瘍免疫に重要な2つのエフェクター細胞、T細胞とナチュラルキラー(NK)細胞に共通の活性化補助刺激受容体DNAM-1(DNAX Accessory Molecule-1、CD226)と免疫チェックポイント分子の1つであるTIGIT(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)に注目した。 DNAM-1とTIGITの共通リガンドであるCD155を改変し、活性化と抑制のバランス制御をすることで、より効率的な抗腫瘍効果を期待できる新規ミセル型ナノ粒子ポリマーワクチンの創出を目的としている。CD155、DNAM-1、TIGITの関係を確認するためにCD155、DNAM-1、TIGIT発現細胞の樹立を行い、人工平面脂質二重膜を用いた分子イメージングを行っている。またDNAM-1下流の活性化シグナル伝達分子のリン酸化を、ウエスタンブロットやフローサイトメトリーによる細胞内リン酸化タンパク質の染色によって評価している。樹状細胞とT細胞、NK細胞の混合培養により産生されるinterleukin-2(IL-2)とinterferon γ(IFNγ)産生をELISA法および細胞内サイトカイン染色により解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAM-1、TIGITを発現したCD4+T細胞株2D12を樹立し、標的細胞にはCD155を発現した株を樹立した。それらの細胞株を用いて、TIGITのリガンドであるCD155分子の生化学・生理学的機能評価が可能となった。また、Glycosylphosphatidylinisotolアンカー型CD155のタンパク質精製を行い、DNAM-1、TIGIT、CD155の挙動を1分子解析するために人工平面脂質二重膜を用いた分子イメージングを行うことが可能となった。細胞株を樹立し、CD155に対するDNAM-1とTIGITについての研究が可能になったことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学的機能検査にて、TIGITとDNAM-1の共通リガンドであるCD155は、TIGITよりDNAM-1により反応することが示唆される実験結果が得られている。同様に人工平面脂質二重膜を用いた分子イメージングにおいても、TIGITよりDNAM-1の作用の方が著明であり、TIGITに結合しやすいCD155を発現した細胞株を作成する必要がある。その後、当初の予定通り改変型CD155を持いた新規ミセル型ナノ粒子ポリマーを作成する。
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Causes of Carryover |
(理由) 新型コロナウイルスの影響で本研究費の交付が遅くなり、また緊急事態宣言により研究機関の閉鎖と実験の中断、物品購入の障害が生じたためである。また、常備品にて研究可能であった。 (使用計画) 最終年度は前年度の結果を受け、細胞株を維持する試薬や、新たな細胞株作成のための試薬を購入する。また、野生型C57BL/6マウス系統の維持やヒト化マウスの作製に利用する。
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