2022 Fiscal Year Annual Research Report
難治性神経芽腫に対する131I-MIBG内照射によるアブスコパル効果の解明
Project/Area Number |
20K22836
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
黒田 梨絵 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90881045)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 高リスク群神経芽腫 / MIBG内照射 / アブスコパル効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小児がんの中でも予後不良疾患である高リスク群神経芽腫の予後改善に向けて、MIBG内照射を行うことでアブスコパル効果(抗腫瘍免疫反応増強効果)を認めるかどうかを明らかにするものである。 最終年度は新規にMIBG内照射を行った6症例において治療前後での免疫学的解析を行うことができ、本研究を通して最終的に12例で解析を行った。 フローサイトメトリー法を用いて行った末梢血白血球亜群解析および各亜群の活性化プロファイル解析では、MIBG 内照射前と比べ内照射後にリンパ球活性化マーカーであるHLA-DR、メモリーT細胞のマーカーであるCD45RO、Th1細胞のマーカーであるCCR5の発現増強および 炎症性単球(CD14+HLA-DR+CD16+)の割合増加を認める傾向があったが症例によるばらつきを認めた。短期的な治療効果判定では、前述のような細胞活性化を顕著に認めた2症例において画像上で評価可能な腫瘍縮小を認めた。長期的な治療効果としては今後無増悪生存期間と今回の解析結果の関連性を用いて検討予定である。 前述の解析で最も免疫学的変化を認めた1症例において、MIBG内照射前後の血清を用いてサ イトカインアレイアッセイにより174種類のサイトカインのスクリーニングを行った。その結果、MIBG治療後に種々のサイトカインの上昇を認めた。具体的には、TNFα、IFNγ、IL-1βといった抗腫瘍効果を示唆するサイ トカインの上昇を認めた。以上より、MIBG内照射後に免疫賦活化が起こっていること、また治療効果が高い症例では強い免疫賦活が認められることが推測されたが少数例での解析であり、今後多数例での解析および疾患モデルマウスを用いた詳細な検討が必要と考えられた。
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