2020 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルと食道癌転移のメカニズムの解明と臨床応用にむけて
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20K22846
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 智樹 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (20882244)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の成果について】 食道癌の上皮間葉転換について、上皮系と間葉系という二つの状態間での変化ではなく、多段階変化を経て起こること、そしてEpCAM、CD51、CD61、CD106の4つのマーカーを用いてその遷移を捉えることを目標としている。現在、EMTを誘導することが報告されている抗癌剤である5-FUを用いて、5-FUを食道癌細胞株に投与した際に細胞形態が間葉系細胞の特徴である紡錘形へと変化することを観察でき、細胞のタンパク発現をWBで確認するとVimentinが経時的に変化することを突き止めた。一方KRT14でもタンパク発現を検証する実験を行なったが現時点ではうまく確認できていない。そして興味深いことにこの時、Notch3がVimentinと逆相関することも確認することができた。そしてNotch3がダイレクトにVimentinを制御していることを示唆するような実験結果も出ていることから、この上皮間葉転換の遷移をNotch3が制御しているという可能性も示唆される。 またNotch3とVimentinに着目して研究計画を進めるなかで、分化マーカーに着目する重要性も見えてきた。食道正常上皮における分化マーカーは基底層から順にKRT5、KRT14、傍基底層はKRT4,13,インボルクリン、最上皮層はフィラグリンと層に応じたマーカーが存在していることが知られている。食道癌細胞株において、Notch3が活性化したり発現が減弱することで、Vimentinは減少したり増加するときに、分化マーカーは分化が進む方向へ進んだり、分化が抑制される一貫した傾向を認めたことから、上皮間葉転換の遷移はVimentinとKRT14だけはなく、これらの分化マーカーも使ってうまく説明できることも考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画で予定していた、上皮から間葉系への遷移を捉えることができた。またそれを実臨床では必ず使う薬剤である5-FUを用いて誘導することができたことは非常に大きな成果だと考えている。これに加えて、他の分化マーカーでも興味深いデーターが得られていることから概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
5-FUを用いてEMTを誘導することに成功したことで、Flowcytometryを用いた実験へと進むことができればと考えている。また5-FUは食道癌の治療において必ず使用される薬剤であり、その耐性が予後不良にも繋がることが知られているので、動物を用いた検討でも5-FUを用いて治療応用へと結びつけられるように計画を練っていく。
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Causes of Carryover |
実験計画に基づいて、動物実験やflowcytometryによる実験を行う予定としている。 以上のことから次年度使用額が発生すると考える。
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