2020 Fiscal Year Research-status Report
血中マイクロRNA編集を用いた大腸癌の新規リキッドバイオプシー技術の確立
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20K22848
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 正 岡山大学, 大学病院, 医員 (20872980)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | RNA editing / miRNA / liquid biopsy |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は原発巣および転移巣におけるRNA編集の解析を行った。当科での外科的切除標本を用い免疫組織化学染色を行うことで、大腸癌原発巣および肝転移巣においてRNA編集酵素の一つであるADAR1の発現が上昇していることを確認した。現在原発巣のlocationやRAS status、MSI、組織型など各種要因を踏まえどのような症例において発現の上昇が強く現れるか解析中である。 マイクロRNAのRNA編集解析に、RNA editing site specific qPCR (RESS-qPCR)の手技を用いたRNA編集解析用プライマーを設計し、real time PCRベースでの解析を行っている。Preliminaryな実験として合成核酸を用い、野生型および変異型の濃度勾配を作成し性能実験を行っていたが、今回外科的切除標本(原発巣、転移巣)および血液サンプルよりマイクロRNAを抽出し、実際にプライマーが機能することを確認した。サンプル数を増やしつつ引き続きLiquid biopsyについての検討を行うため、当院バイオバンクに生体試料(血液)利用の申請、倫理審査委員会への承認申請に取りかかっている。 当研究室では大腸癌の浸潤、転移においてmicrobiomeからのシグナルが関連している可能性について検討を行っており大腸菌の内毒素であるリポポリサッカライドを用いたin vitroの実験を開始している。これらのサンプルからもマイクロRNAの抽出も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による研究中断期間を有したことから一定の遅延については想定していたが、当初の研究計画では1年目のうちに原発および転移巣からマイクロRNAを回収し次世代シークエンサーを用いてマイクロRNA編集部位を同定する予定であったため、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者と大腸癌患者の血中マイクロRNA編集レベルを測定し、診断予後予測のためのLiquid biopsyに使用可能なマイクロRNA編集部位の検索を行う。また大腸癌化学療法を行っている患者の経時的な血液サンプルを用い、化学療法の奏効と相関するマイクロRNA編集を検出し、化学療法の効果予測マーカーを樹立する。最終的にこれらのマイクロRNA編集が寄与する生物的な意義について、プラスミドを用いたin vitro およびin vivoの機能解析を行い検証する。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーによるマイクロRNA編集部位の同定と、PCRやパイロシークエンシングによるRNA編集の再現性の確認を次年度に延期したため。
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