2021 Fiscal Year Annual Research Report
血中マイクロRNA編集を用いた大腸癌の新規リキッドバイオプシー技術の確立
Project/Area Number |
20K22848
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 正 岡山大学, 大学病院, 医員 (20872980)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | RNA editing / 大腸癌 / リキッドバイオプシー / 血液 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで作成したRNA editing 解析用プライマーを用い、miRNAおよびmRNAのRNA編集を解析してみた。原発巣・周囲正常粘膜・血液におけるRNA編集を解析した。対象は、大腸癌を選択した。 【原発巣】原発巣において、RNA編集酵素ADAR1は高発現していた。特に、oncogenicなRNA編集として知られるAZIN1のRNA編集は高まっていた。そのほか、Gli1のRNA編集も高まっていた。これらのRNA編集レベルの上昇は、癌の進展・悪性化を促進していると思われた。 【周囲正常粘膜】発がんには、発がんしやすい素地が形成されるfield cancerizationという概念が存在している。つまり、もともと発がんしやすい素地があり、その中で、最後のトリガーが引かれた部位が発がんする、というものである。我々は、癌組織に加え、周囲の正常粘膜のRNA編集を調べると、癌のキャラクターを類推することができ、ひいては発がん予測が可能になるかもしれないと考えた。そこで、周囲粘膜のRNA編集を解析してみた。癌周囲の正常粘膜でのAZIN1 RNA編集が高い症例では、リンパ管侵襲がハイリスクであることがわかった。つまり、RNA編集が高い部位で発がんすると、よりリンパ管侵襲能の高い、悪性度の高い癌となる可能性が示唆された。 【血液のmiRNA editingについて】血液からRNAを抽出、逆転写しmiRN 200bのRNA編集を調べてみた。残念ながら、担癌患者で高い傾向は認められなかった。原発巣や発がん素地のある粘膜を持った患者を血液で抽出できればリキッドバイオプシーが可能になるはずであったのだが、血液中の癌由来のRNAが少ないこと、RNAが血液中で不安定なことが、その原因であると考えられた。
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