2020 Fiscal Year Research-status Report
がん根治が望める老化関連マイクロ RNA によるがん幹細胞抑制メカニズムの解明
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20K22849
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 佑樹 広島大学, 医系科学研究科(薬), 助教 (50881265)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | microRNA / senescence / cancer stem cell |
Outline of Annual Research Achievements |
既存のがん治療では、がん幹細胞や抗癌剤耐性がん細胞などの治療抵抗性がん細胞の存在により、がんの再発が問題視されている。我々はこれまでに、細胞老化を誘導するマイクロ RNA (老化関連 miRNA) に着目し、様々な難治性がんに対して細胞増殖を抑制する老化関連 miRNA を同定している。さらに、老化関連 miRNA の一部が、このような治療抵抗性がん細胞にも増殖抑制効果を示すことを既に見出している。、本研究では、がん幹細胞や治療抵抗性がん細胞に対して増殖抑制効果を示す老化関連 miRNA を、がん根治可能な新規抗がん核酸医薬として応用していくことを最終目標に、このような老化関連 miRNA のがん幹細胞、がん細胞における増殖抑制メカニズムを明らかとすることを目指している。 本年度は、まず先行研究で得られた老化関連 miRNA について、他の正常細胞を用いた老化誘導能を検証した。さらに、標的遺伝子の探索を AGO2 抗体を用いた免疫沈降を行い、その後のシークエンス解析により、標的遺伝子候補を網羅的に同定した。 一方で、先行研究で同定している老化関連 miRNA 以外にも、がん幹細胞様細胞や治療抵抗性細胞に対して抑制効果を示すような老化関連 miRNA があるかどうかについて、がん幹細胞性の高い細胞株を用いてスクリーニングを行い、その他の老化関連 miRNA の増殖抑制効果について検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス対応や研究期間の短縮などの問題により、研究時間の確保が難しい時期があった。また、先行研究で同定している老化関連 miRNA の標的遺伝子解析に関して、計画していた実験が上手くいかず、実験方法の変更を行った。その結果、実験系の立ち上げ含め、計画に遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度において、系の立ち上げは完了しているため今後は概ね問題なく計画を遂行できるものと考える。今後は、前年度行う予定であった、がん幹細胞に対しての細胞死の解析を行い、どのように老化関連 miRNA が増殖抑制効果を示すのかについて検討する。また、前年度に確立した実験系において、標的遺伝子を網羅的に同定する。同定された標的遺伝子候補について、標的遺伝子予測や GO 解析を行い、がん幹細胞を抑制するメカニズムについて検討する。また、同定された標的遺伝子候補について siRNA を用いたノックダウン実験を行い、実際にがん幹細胞抑制に寄与する標的遺伝子を同定する。現在検証を行っている老化関連 miRNA 以外の miRNA についても、研究の進行状況に合わせて順次同様の解析を行い、バックアップを行う。同定できた老化関連 miRNA とそのメカニズムについて、可能な限りマウスを用いた動物実験を行い、in vivo での検証を行う。
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Causes of Carryover |
前年度では、文献管理ソフトやグラフ描画ソフトなどの PC ソフトウェアや論文投稿諸経費としてその他経費を予算計上をしていた。前年度は大きく、この項目の予算を使い切ることができず、次年度使用額への繰り越しとなった。これは、前述の通り研究計画と比較し遅れが生じており、前年度論文投稿まで研究を遂行することができなかったため、前年度で使い切ることができなかった。 本年度では、前年度分と合わせて論文投稿を目指し、研究を遂行していく。
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Research Products
(3 results)