2020 Fiscal Year Research-status Report
メラノーマに対するOX40L遺伝子導入iPS細胞由来マクロファージ療法の開発
Project/Area Number |
20K22850
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 俊寛 熊本大学, 病院, 医員 (40879904)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | iPS-ML / OX40L / OX40 / 悪性黒色腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで不死化したiPS-MLを用いた細胞移入療法について研究を行ってきた。将来的にはiPS細胞バンクから事前に各種HLAのiPS-MLを作成しておき、速やかにクオリティーの保証された細胞を供給することを想定している。このiPS-MLをさらに免疫学的に強化するために我々が着目したのがOX40である。OX40は活性化したT細胞に発現し、T細胞の活性化シグナルの持続、メモリーT細胞の産生の促進、エフェクターT細胞の産生の促進、制御性T細胞の誘導の阻害という免疫機能の亢進・増強に非常に重要な役割を担っている。本研究の目的は、このligandであるOX40LをiPS-MLに導入することで、マウスメラノーマに対する治療効果が増強されることを確認し、さらには免疫チェックポイント阻害薬との併用による上乗せ効果を確認することである。これと同時に、不死化したiPS-MLの腫瘍原性や自己免疫現象の評価を行い安全性についても検討する。 昨年度はまずiPS-ML-OX40Lの有効性について英文雑誌:Pigment Cell & Melanoma Researchにて世界に発信することができた。また、iPS-ML治療の安全性の評価としてB6マウスとMHCclassIIの一部のみが異なるマウス:129Svマウス由来のES-MLを用いて治療を行い比較したが、ES-MLとiPS-MLとの間に有意な治療効果の差は見られなかった。これはすなわち、MHCclassIが一致していればiPS-MLの治療効果は阻害されず、長期的には治療効果を発揮したのちにいずれ免疫学的に排除されるため、将来的にはHLAのみ一致した他人のiPS-MLで治療することにより、腫瘍化のリスクの観点からはより安全に治療に用いることができるであろうことが証明された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスのパンデミックによる実験や製品購入の制限があり、想定よりも研究の進行が遅れてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
iPS-ML-OX40Lと免疫チェックポイント阻害薬との併用での上乗せ効果の確認について検討することができていないため、本年度においてはマウスメラノーマの腹膜播種モデルに対して、iPS-MLとiPS-ML-OX40Lにそれぞれ抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体を同時投与して、その治療効果を比較する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのパンデミックにより、実験や資材・マウスの購入に制限があったため、想定の資金より下回る結果となった。 本年度は昨年度分も実験資材を購入予定であるため、未使用分を本年度使用額に計上した。
|