2021 Fiscal Year Annual Research Report
HOXB9 mRNA variant in breast cancer
Project/Area Number |
20K22855
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中小路 絢子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30876321)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | HOXB9 / 乳癌 / ホメオボックス遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
HOXB9は乳癌細胞の上皮間葉転換および微小環境における血管新生の誘導により乳癌進展に寄与することが知られる。新たに発見したHOXB9スプライスバリアントについて、乳癌細胞株および乳癌臨床検体に同バリアントが広く発現している一方、正常乳腺では発現が認められないことをこれまでに確認しており、今回、その乳癌における役割を解明することを目的とし研究を行った。 増殖アッセイでは、同バリアント高発現の乳癌細胞株で増殖が亢進していた。Gene Ontology解析の結果から、同バリアントはアポトーシスの抑制を通じて乳癌細胞の増殖を促進している可能性が考えられた。 これを受け、アポトーシス検出アッセイを行ったところ、外因性経路のアポトーシスが同バリアント高発現株では抑制されていることを示す結果を得た。 また、HOXタンパクの補因子であるPBXとの結合を阻害するHXR9を用いたところ、同バリアント高発現株では、HXR9の治療効果が低いことを示す結果を得た。HOXタンパクは多くの補因子と相互作用しHOXタンパク複合体を形成して働くことが知られるが、DNA結合部を欠く同バリアントにおいては補因子を含んだ下流の反応も異なっていると考えられた。 HOX遺伝子群の他のHOX遺伝子では同様にホメオドメインを欠くスプライスバリアントが報告されており、なかでもHOXA9では、スプライスバリアントが白血病の発症に関わっており治療ターゲットとして同定されている。一方、HOX遺伝子群のスプライスバリアントが固形癌の進展に関わることを示した研究は当研究以外なく、今回の結果の学術的な意義は非常に大きいと考えられる。
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