2020 Fiscal Year Research-status Report
新規アミロイドβペプチド制御因子GAL3BPによるアルツハイマー病治療法の開発
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20K22874
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
関 恒慶 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (10878424)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / GAL3BP / APP |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会において認知症は重大な社会問題となっている。アルツハイマー病(AD)は最も多くみられる認知症で、生活環境や生活習慣病と大きく関連しているものの、有効な治療法は未だに存在しない。申請者は最近、ADの発症に関わる重要な分子であるアミロイドβペプチド(Aβ)の産出を制御する内因性分子であるGAL3BPを同定した(Seki et al, J Biol Chem 2020)。Aβ制御に関わる内因性分子は、これまでに明らかにされておらず、GAL3BPがADの治療剤の画期的な創薬ターゲットとなる可能性が浮上してきた。そこで本計画では、①ADモデルマウスを用いてGAL3BPの治療効果をin vivo において実証すること、②GAL3BPの最小生理機能ユニットを見出し、ペプチド創薬の可能性を明らかにすること、を目的とする。 ①については、GAL3BP発現マウスを、ADモデルマウスAPPNL-G-F/NL-G-Fマウス(Saito et al, Nature Neurosci 2014:理研BRCより購入)と掛け合わせ、得られた二重変異マウスの脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)を指標に、GAL3BPのAβ産出抑制活性をin vivo で評価する予定であり、現在、GAL3BP発現トランスジェニックマウスを作出した。また、②については、GAL3BPはAPPと直接結合し、βセクレターゼによるプロセシングと競合することでAβ産出を抑制する(Seki et al, J Biol Chem 2020)ことより、GAL3BPを分割した小ユニットペプチドの作成を行った。 今後、ADの治療標的となることを、ADモデルマウスを用いて実証し、GAL3BPのAβ抑制の最小機能ペプチドを同定することで、ペプチド創薬にむけた基盤的知見を得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、GAL3BP発現トランスジェニックマウスを作出しており、今後、ADモデルマウスAPPNL-G-F/NL-G-Fマウス(Saito et al, Nature Neurosci 2014:理研BRCより購入)と掛け合わせる。得られた二重変異マウスの脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)を指標に、GAL3BPのAβ産出抑制活性をin vivo で評価する。神経病理は、神経炎症とシナプス変性を指標に、また、認知機能については、学習・記憶、社会行動に関するマウス行動解析試験(バーンズ迷路、T字型迷路)を実施し評価する GAL3BPを分割した小ユニットペプチドの作成ができ、今後、それらのAPP結合活性とAβ産出抑制活性を、APP発現培養細胞を用いた免疫沈降法とELISA法で検証する。 上記の計画を遂行予定だが、コロナ禍もあり、時間や人手の不足といった、当初予想していなかった状況もあり、予定よりもやや遅れた研究進捗となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、GAL3BP発現トランスジェニックマウスを作出しており、今後、アルツハイマー病モデルマウスAPPNL-G-F/NL-G-Fマウス(Saito et al, Nature Neurosci 2014:理研BRCより購入)と掛け合わせる。得られた二重変異マウスの脳内でのAβ産出量(ELISA法)、脳標本でのAβ沈着量(免疫染色法)を指標に、GAL3BPのAβ産出抑制活性をin vivo で評価する。神経病理は、神経炎症とシナプス変性を指標に、また、認知機能については、学習・記憶、社会行動に関するマウス行動解析試験(バーンズ迷路、T字型迷路)を実施し評価する。これらにより、GAL3BPのAβ産出抑制効果とアルツハイマー病の進行抑制効果が個体レベルで明らかになり、GAL3BP療法のProof-of-Conceptを示す。 また、GAL3BPを分割した小ユニットペプチドの作成ができ、今後、それらのAPP結合活性とAβ産出抑制活性を、APP発現培養細胞を用いた免疫沈降法とELISA法で検証する。得られた最小ユニットをペプチド合成し、アルツハイマー病モデルマウスへ投与し(経静脈、経髄液、経腹腔)、Aβ産出量、神経病理、認知機能を評価する。ペプチドの脳内移行および体内動態は、蛍光標識ペプチドを用いて評価する。機能性ペプチドで効果が得られない場合は、全長の組換えGAL3BPの投与を検討する。本計画により、GAL3BPの機能ユニットを用いたペプチド創薬の基盤的知見が得られる。 ADの治療標的となることを、ADモデルマウスを用いて実証し、GAL3BPのAβ抑制の最小機能ペプチドを同定することで、ペプチド創薬にむけた基盤的知見を得る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、学会参加がwebとなり、旅費は減額できたが、一方で研究進捗状況により、物品費が多くかかり、上記のような所要額となった。今年度の物品費を鑑みて、物品碑として次年度使用額を使用していく計画である。
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Research Products
(2 results)