2020 Fiscal Year Research-status Report
高血圧ラットで解き明かす「AKI to CKD」の分子基盤とその予防法の開発
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20K22875
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
江川 雅博 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (90799115)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 高血圧自然発症ラット / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害(AKI)から慢性腎臓病(CKD)への移行に対して、高血圧素因が憎悪因子として働くかを評価するため、高血圧自然発症ラット(SHR)と正常血圧対照ラット(WKY)を用いて研究を行った。今年度は、薬剤性のAKIモデルの検討を行った。既報より、シスプラチン(5 mg/kg)を腹腔内投与してAKIモデルの作製を試みたが、この投与量では尿細管上皮の脱落壊死などのAKIに特徴的な腎病理組織所見が十分に認められなかった。そこで、投与量を7 mg/kgに増量したところ、投与後5~7日目で20%程度の体重減が生じるなどラットの衰弱が顕著であった。血清クレアチニンはSHR, WKYの投与群で8.8~9.9 mg/dlまで上昇し(生食投与の対照群の平均は、SHRで0.49 mg/dl, WKYで0.64 mg/dl)、明らかなAKI病態を示したが、極めて重篤な病態であったため、CKDへの移行を評価する長期的評価は行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験手技や実験条件の検討および確立に時間を要し、予定していた腎虚血再灌流傷害モデルや薬剤性腎障害モデルでの詳細な検討を十分に実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
腎虚血再灌流障害モデルの最適な実験条件を確立できたため、2021年度は本モデルにおける解析を中心に実施し、「AKI to CKD」と高血圧病態との関連を検証していく。今年度の結果から、薬剤性腎障害モデルについては投与後の病態の重篤度が高く、実施が不可能な状況であったが、投与量を減らすなど条件を再検証することで並行して進める予定である。
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Causes of Carryover |
実験条件の検証に時間を要し、また、今年度に実施した薬剤性腎障害モデルでは長期的な観察が不可能であった。そのため、当初予定していた組織検体や血清検体を用いた分子生物学的・生化学的実験を実施するに至らなかった。これら実験に使用する試薬・キット類の購入の必要がなかったため、研究経費の繰り越しが生じた。今年度は、継続して実験用ラット購入などに使用するほか、これら試薬・キット類の購入にも計画通りに使用する予定である。
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