2020 Fiscal Year Research-status Report
Pulmonary osteoclast-like cells as a novel therapeutic target in pulmonary fibrosis
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20K22880
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 喜弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90643180)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | RANKL / 破骨細胞 / 肺線維症 / 珪肺 / シリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
じん肺症は粉じんの吸引により進行性・不可逆性の肺線維症を引き起こす職業性肺疾患で、世界的に増加している。じん肺症の中で最多である珪肺は、シリカ粒子の吸引が原因であることが知られているが、肺線維症を発症する機序は不明で根本的な治療法はない。 骨の恒常性は骨吸収を担う破骨細胞と骨形成を担う骨芽細胞によって維持されている。骨芽細胞が分泌する破骨細胞分化誘導因子(RANKL)は単球・マクロファージ系前駆細胞を多核巨細胞である破骨細胞へと分化させる。破骨細胞は骨表面に接着し、酸やタンパク分解酵素を分泌することで骨のミネラル成分や有機基質を溶解・分解する。 本申請課題では、「肺内の破骨細胞様の多核巨細胞が酸やタンパク分解酵素を分泌することで肺線維症を引き起こす」という仮説のもと、破骨細胞様多核巨細胞を標的とした新たな肺線維症の治療法を提唱することを目指している。 これまでに作製した珪肺モデルマウスの肺内において、破骨細胞分化誘導因子(RANKL)の発現が増加していることを明らかにした。さらにその結果として、破骨細胞様の多核巨細胞が肺胞腔内に出現することがわかった。また抗RANKL抗体を珪肺モデルマウスに投与すると、破骨細胞様多核巨細胞への分化が阻害されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
破骨細胞様多核巨細胞が酸やタンパク分解酵素の分泌能を有することを証明することを目指しているが、機能解析のためのアッセイ系の確立に難渋している。破骨細胞様多核巨細胞を珪肺モデルマウスの肺組織から単離し、骨切片スライス上で培養することで、骨吸収能を評価することを試みている。現在までに細胞数、培養期間、サイトカインの有無など条件設定に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
骨吸収能アッセイに加えて、破骨細胞様多核巨細胞をpHセンサープレート上で培養することで、酸分泌能を評価する。また、抗RANKL抗体やビスホスホネート製剤を珪肺モデルマウスに投与し、肺組織像、線維化関連遺伝子定量、肺コラーゲン定量、肺機能検査により肺線維症の重症度を評価することで、抗線維化薬としての有効性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
動物実験の立ち上げに時間を要し、予定よりも実験に必要な試薬の購入が少なくなった。次年度は遅れていた初代培養細胞を用いた実験と動物実験を進められるので、試薬購入に使用する予定である。
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