2021 Fiscal Year Annual Research Report
Pulmonary osteoclast-like cells as a novel therapeutic target in pulmonary fibrosis
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20K22880
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 喜弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90643180)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | RANKL / 破骨細胞 / 肺線維症 / 珪肺 / シリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
じん肺症は粉じんの吸引により進行性・不可逆性の肺線維症を引き起こす職業性肺疾患で、世界的に増加している。じん肺症の中で最多である珪肺は、シリカ粒子の吸引が原因であることが知られているが、肺線維症を発症する機序は不明で根本的な治療法はない。 骨の恒常性は骨吸収を担う破骨細胞と骨形成を担う骨芽細胞によって維持されている。骨芽細胞が分泌する破骨細胞分化誘導因子(RANKL)は単球・マクロファージ系前駆細胞を多核巨細胞である破骨細胞へと分化させる。破骨細胞は骨表面に接着し、酸やタンパク分解酵素を分泌することで骨のミネラル成分や有機基質を溶解・分解する。 本申請課題では、「肺内の破骨細胞様の多核巨細胞が酸やタンパク分解酵素を分泌することで肺線維症を引き起こす」という仮説のもと、破骨細胞様多核巨細胞を標的とした新たな肺線維症の治療法を提唱することを目的とした。 まず、シリカ粒子の経気道投与により珪肺モデルマウスを作製した。珪肺モデルマウスの肺内では、破骨細胞分化誘導因子(RANKL)の発現が増加していることがわかった。また肺胞Ⅱ型上皮細胞とT細胞にRANKLの発現が認められた。さらに、珪肺モデルマウスでは破骨細胞様の多核巨細胞が肺胞腔内に出現することがわかった。次に、抗RANKL抗体を珪肺モデルマウスに腹腔内投与すると、破骨細胞様多核巨細胞への分化が阻害された上に、線維性肺病変の形成が抑制された。 以上の結果より、シリカ粒子への暴露により肺内においてRANKL依存性に破骨細胞様多核巨細胞への分化が誘導されることがわかった。さらに、破骨細胞様多核巨細胞は肺線維症の発症に関与していることが示唆された。
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[Journal Article] N-glycosylation regulates MET processing and signaling2022
Author(s)
Saitou A, Hasegawa Y, Fujitani N, Ariki S, Uehara Y, Hashimoto U, Saito A, Kuronuma K, Matsumoto K, Chiba H, Takahashi M.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 113
Pages: 1292-1304
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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