2020 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈MRIを用いた血栓・プラーク内出血を新しい臨床指標とするACSの病態解明
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20K22882
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 健嗣 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60597558)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | MRI / 急性冠症候群 / プラーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の1つである「冠動脈核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI)を用いたプラーク内出血の同定法の確立」について、冠動脈MRI所見と冠動脈粥腫切除標本との比較検討を行った。臨床的に冠動脈粥腫切除術の適応となる患者は多くないことが見込まれたため、本プロジェクトにおけるその他の目的を達成するための後続のコホートとは独立したコホートで検討を行った。冠動脈MRIを行い、その後のインターベンション治療において冠動脈粥腫切除を行った連続15例について検討を行った。結果は、当該プラークのT1信号値はプラーク内出血を示唆するglycophorin A scoreと有意な相関が認められた。また多変量解析においてT1信号値は唯一、glycophorin A scoreとの有意な相関が認められた。さらにglycophorin A score≧2を予測する適切なT1強調画像におけるプラーク/心筋信号値比のカットオフ値は1.2(感度 89%、特異度 100%、陽性的中率 100%、陰性的中率 86%)であることが明らかとなった。本研究成果は現在論文作成を行い、学術雑誌に投稿中である。 これらの結果をもとに、「非侵襲的な冠動脈不安定プラークの指標としての冠動脈MRIの意義について、バイオマーカーや各種画像所見との対比、経時的変化について検討を行う」という次の目的を達成するべく、新たなコホート研究を近日開始予定である。現在、研究実施計画書について大阪市立大学医学系研究等倫理審査委員会での承認を待っている段階であり、承認後すぐに募集を開始する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
冠動脈MRI所見と切除標本との比較において、「T1高信号がプラーク内出血と相関がある」という仮説について検証することが、本研究計画における後続の研究においても重要であると考えられた。臨床的に冠動脈粥腫切除標本の適応となる患者は多くないことから、冠動脈MRIと粥腫切除標本との比較研究は、先行研究として行うように判断したことで、令和2年度内に研究成果を学術論文として投稿できる段階まで進めることができた。また、この結果に基づいて、「非侵襲的な冠動脈不安定プラークの指標としての冠動脈MRIの意義について、バイオマーカーや各種画像所見との対比、経時的変化について検討を行う」という次の研究目的がよりクリアになり、かつ新たなコホート研究として立ち上げたことで、より効率よく症例をリクルートできる準備が整ったと考えている。研究開始段階では、この新たなコホート研究について令和3年4月からの募集開始を予定していた。現在大阪市立大学医学系研究等倫理審査委員会での承認を待っている段階であり、近日募集開始予定であることから、おおむね順調に進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
「非侵襲的な冠動脈不安定プラークの指標としての冠動脈MRIの意義について、バイオマーカーや各種画像所見との対比、経時的変化について検討を行う」という本研究計画の次のコホート研究について、現在大阪市立大学医学系研究等倫理審査委員会での承認を待っている段階である。承認後、すぐに募集開始予定である。
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Causes of Carryover |
物品費について、病理組織との比較検討および血液マーカー測定は別個のコホートでの検討を行うこととしたため、令和2年度の血液マーカー測定に関わる費用は発生しなかった。令和3年度には令和2年度に予定していた症例数も含めて症例のエントリーを行い、それに伴う費用を合わせて次年度使用として計上させていただく予定である。 旅費について、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により、当初予定していた国内外の学会出張への参加が困難となったため、旅費が全く発生しなかった。 人件費・謝金およびその他としては、令和2年度は論文投稿に関連した費用が発生しなかったため、次年度使用として計上させていただく予定である。
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