2022 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈MRIを用いた血栓・プラーク内出血を新しい臨床指標とするACSの病態解明
Project/Area Number |
20K22882
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松本 健嗣 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (60597558)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | MRI / 急性冠症候群 / プラーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の1つである「冠動脈核磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging, MRI)を用いたプラーク内出血の同定法の確立」について、冠動脈MRI所見と冠動脈粥腫切除標本との比較検討を行った。結果は、当該プラークのT1信号値はプラーク内出血を示唆するglycophorin A scoreと有意な相関が認められた。また多変量解析においてT1信号値は唯一、glycophorin A scoreとの有意な相関が認められた。さらにglycophorin A score≧2を予測する適切なT1強調画像におけるプラーク/心筋信号値比のカットオフ値は1.2(感度 89%、特異度 100%、陽性的中率 100%、陰性的中率 86%)であることが明らかとなった。。本研究成果はAm Heart J Plus誌にacceptされた(Ehara S, Matsumoto K, et al. Am Heart J Plus. 2021; 10: 100047)。本研究成果によって、冠動脈MRIにおけるT1高信号は、臨床的に冠動脈内血栓とプラーク内出血を示唆する指標となりうることが判明した。この結果から無症候性を含めた冠動脈内血栓およびプラーク内出血を非侵襲的に評価できる唯一のモダリティとしての冠動脈MRIの意義が確立した。急性冠症候群の予知や予防戦略は今なお世界的な急務であり、本研究成果をもとに今後MRIにおけるT1信号値をマーカーとした研究の発展が期待される。
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