2021 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア障害の観点からみた微小変化型ネフローゼ症候群の病態解明
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20K22886
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤井 裕子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (90878472)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 微小変化型ネフローゼ症候群 / 酸化ストレス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期に好発する微小変化型ネフローゼ症候群とミトコンドリア障害との関連性を明らかにするために、実験を実施した。 2021年度は、「ミトコンドリア障害の経時的進行と蛋白尿増加の関連性の検討」に関して、6週齢の雄のwistarラットに、puromycin aminonucleosideを皮下投与し、微小変化型ネフローゼ症候群モデルラットを作製した。puromycin aminonucleoside投与後より、蛋白尿はほぼ直線的に増加し、day5より有意に蛋白尿が増加することを確認した。したがって、day4の検体を蛋白尿増加前 (P4)、day7の検体を蛋白尿軽度増加期 (P7)、day10の検体をネフローゼ期 (P10)と設定した。一日蛋白尿量 (median, interquartile range [mg/day])は、P4 (18.05, 10.27-23.17)、P7 (73.38, 38.50-121.22)、P10 (279.15, 181.03-366.34)となり、経時的に有意に増加していることを確認した。透過型電子顕微鏡を用いて、それぞれの群の糸球体ポドサイトのミトコンドリアを観察し、障害スコアを評価した。 また、DNA障害評価キットを用いたreal-time PCR定量の測定法の技術面の確認を行っており、完了すれば糸球体ポドサイトのDNAを使用して、ミトコンドリア障害を評価する予定である。糸球体ポドサイト中のDNAの抽出はすでに完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的には、新型コロナウイルス流行に関連した、試薬や備品納入の遅れ、人的労働力の低下などによる進行の遅れにより、遅延している。現在は、やや納入遅延などはあるものの、影響は減少しており、今後は大きな影響はないものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
「微小変化型ネフローゼ症候群発症後におけるミトコンドリア特異的抗酸化剤投与による蛋白尿減少効果の検討」「ミトコンドリア障害の経時的進行と蛋白尿増加の関連性の検討」の両実験系において、既に得られている検体を使用し、血漿・尿・腎糸球体の蛋白・アルブミン・クレアチニン・酸化ストレスマーカーなどを測定し、腎組織の4-hydrozinonenal免疫染色を行う。蛋白尿・組織とミトコンドリアの評価・酸化ストレスマーカーとの関連を確認し、論文化を進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行に関連した物品納入遅延などによる。 酸化ストレスマーカー測定、免疫染色、DNA定量等に充てる予定である。
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