2022 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア障害の観点からみた微小変化型ネフローゼ症候群の病態解明
Project/Area Number |
20K22886
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
藤井 裕子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (90878472)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 微小変化型ネフローゼ症候群 / 酸化ストレス / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
雄のWistarラットに、50mg/kgのpuromycin aminonucleoside (PAN) の皮下注射を行い、尿蛋白量別に3タイプの微小変化型ネフローゼ症候群のモデルラットを作製した。このモデルではPAN投与後、日数が経過するにつれて尿蛋白量は増加するため、3日目(control)、6日目(軽度尿蛋白増加)、9日目(ネフローゼ)の3タイプの1日尿蛋白量を測定した。また、糸球体および血漿を採取して、蛋白、クレアチニン、脂質過酸化指標、ミトコンドリアDNA量等を測定した。 一日尿蛋白量は3日目、6日目、9日目と徐々に増加しており、ネフローゼ症候群が再現できていることを確認した。血漿中の脂質過酸化マーカーである4-hydroxynonenalは、10日目に比べて4日目と7日目に有意に低値であった。4日目、7日目、10日目とミトコンドリアDNA量は徐々に低下し、尿蛋白が増加するにつれて、ミトコンドリアDNA量は減少していた。一日尿蛋白量と糸球体ミトコンドリアDNA量の間には強い負の相関があり、糸球体のミトコンドリア障害が増加するにつれて、尿蛋白量も増加すると考えられた。 また、ネフローゼ群にPAN投与後5日目から9日目にかけてミトコンドリア特異的抗酸化剤であるMitoTEMPOを投与したところ、投与しなかった群と比較して、尿蛋白量は減少する傾向にあった。 以上のことから、糸球体のミトコンドリア機能障害は、微小変化型ネフローゼ症候群の病態と密接な関係がある可能性が示された。
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