2022 Fiscal Year Research-status Report
精神疾患におけるグルテン感受性関連解析を起点とした新規治療手段の提供
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20K22887
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
本山 美久仁 兵庫医科大学, 医学部, 博士研究員 (20873615)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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Keywords | グルテン感受性 / グルテン不耐症 / 抗グリアジン抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はグルテン不耐症の症状や抗体価についての検討を行った。兵庫医科大学病院グルテン専門外来を受診した20歳-70歳のグルテン不耐症と、対照群としてグルテン感受性に関連する症状の自覚のない20歳-70歳を対象とした。血液を採取し、ELISA法にて抗グリアジンIgG抗体などのグルテン関連抗体を測定した。また精神症状、身体症状を問診および自己記入式質問紙について評価した。グルテン不耐症群では、消化器症状、易疲労感、睡眠関連問題を有する割合が高く、身体症状だけではなく、うつや不安の症状を有する割合も高かった。免疫学的グルテン感受性群では、非免疫学的グルテン感受性群に比べ、自覚症状を有する者が多く、過敏性腸症候群の診断基準を満たす者やQOLの低い者が多かったことから、消化器に影響を及ぼしていると考えられる。今回、抗グリアジンIgG抗体陽性の感度は38%と低く、バイオマーカーとして抗グリアジンIgG抗体のみを用いても、グルテン不耐症の診断には十分ではないと考えられた。グルテン不耐症の正確な診断基準を確立するためには、複数のバイオマーカーを組み合わせて使用することが望ましく、抗グリアジンIgG抗体だけでなく、他の客観的な指標も必要であると考えられた。 これらの結果は第118回日本精神神経学会学術総会、22nd IUNS-International Congress of Nutritionで報告を行い、論文化を予定している。現在、うつとグルテン不耐症の関連についての解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大の影響で患者群のリクルートが困難な期間があり、当初の予定より収集できている症例が少ない。解析については順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、うつのグルテン感受性について解析を行っており、結果は2023年の第119回日本精神神経学会学術総会で報告予定である。対象症例については引き続き募集を行い症例数を増やしていく。また、グルテン感受性者の背景因子についての詳細の解析も進めていくとともにグルテンフリー食の有効性についてもさらに検討を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度は2021年度に引き続きCOVID-19感染拡大の影響で、学会がオンラインになるなどし、予定よりも収集できた検体数も少なかったため、抗体キットの購入にかかった費用、旅費などが予定よりも少額であった。2023年度も症例数を増やす予定であり、抗体キットなどの消耗品の費用の分が次年度に繰越になった。また、2023年度も学会発表や論文による成果報告を予定している。
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