2021 Fiscal Year Annual Research Report
Stanford B型大動脈解離における血流動態解析とCFDモデルの最適化
Project/Area Number |
20K22889
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
樋口 慧 東北大学, 大学病院, 医員 (90876715)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / Stanford B / CDF / 4D flow |
Outline of Annual Research Achievements |
Stanford B型大動脈解離は慢性期の偽腔の拡大が死亡率を上昇させており、介入するべき症例の選定やその時期が問題となっている。偽腔の拡大を予想する因子としてはCTで得られる形態学的な因子の報告が多く、血流動態の評価は不十分であった。本研究では慢性期に偽腔の拡大傾向が見られるStanford B型大動脈解離に対して行った4D flow MRI検査を解析し、真腔および偽腔内の血流動態の評価を行った。その結果、偽腔の拡大が見られる症例において、真腔及び偽腔内の血流動態は非常に複雑であり、血流は真腔内から偽腔内へ流入するだけでなく、一度偽腔内に入った血流が再び真腔側へ逆流するような血流動態があることが判明した。このような複雑な血流動態が偽腔拡大の因子として考えられた。一方で、コンピューター上で血流シミュレーションを行うCFDでは、上行大動脈に4D flow MRIで得られた血流を与えたとしても、複数の真腔と偽腔を交通するre-entryの状態や複数の分枝血管の条件設定が複雑であり、4D flowで得られる偽腔内の血流動態を血管形態から再現することは難しいことが判明した。CFDの血流動態の再現性改善のためにCFDに対して、4D flowで得られた血流の状態を複数与えることが考えられたが、本研究の目的は4D flow MRIがなくても、CFDによって大動脈解離の偽腔拡大を予測することであり、この方法では4D flowデータがないと血流動態がシミュレーションできないこととなる。そこで、今後はCFDと4D flowを切り離して考え、それぞれの解析結果がどの程度慢性期の大動脈解離の拡大を予想しうるかを検討していくこととした。
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