2020 Fiscal Year Research-status Report
血管周囲脂肪組織の褐色化制御を介した新たな動脈硬化治療戦略の構築
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20K22893
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安達 裕助 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (40834198)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス組織を用いた網羅的遺伝子発現解析の結果、血管傷害後の血管周囲脂肪組織(PVAT)では、褐色脂肪マーカーの遺伝子発現が上昇しているという事実を捉えた。またマウス血管傷害モデルを用いて、血管傷害後のPVATにおいては褐色化現象が起こることを確認した。次に、脂肪組織特異的褐色化抑制マウスでは、PVATの炎症と血管リモデリングが増悪することを明らかにした。逆に、β3受容体刺激薬の局所投与によってPVATの褐色化を促進すると、PVATの炎症と血管リモデリングが抑制された。培養細胞を用いた実験では、褐色化を抑制したPVAT由来脂肪細胞の培養上清はマクロファージ細胞株を炎症型に分極させた。一方、褐色化誘導したPVAT由来脂肪細胞の培養上清は、マクロファージを抗炎症型に分極させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス組織を用いた網羅的遺伝子発現解析の結果、血管傷害後のPVATで褐色脂肪マーカーの遺伝子発現が上昇していることを示すことができたため。また脂肪組織特異的褐色化抑制マウスでは、PVATの炎症と血管リモデリングが増悪することを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
一細胞解析により、褐色化したマウス脂肪細胞から分泌されるアディポカインを同定し、マクロファージへの作用を明らかにする。また、ヒト組織においても血管傷害後のPVATで褐色化現象が起こっているかどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
当該年度にシングルセルRNAシークエンスの施行を予定していたが、実験の進行が遅れ施行できなかったため、次年度に施行予定である。
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