2020 Fiscal Year Research-status Report
疾患特異的iPS細胞を用いた末期腎不全の新規原因遺伝子同定および機序解明
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20K22897
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山村 雄太 金沢大学, 附属病院, 医員 (40881058)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 腎コロボーマ症候群 / PAX2遺伝子 / 遺伝性腎疾患 / CAKUT / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原因不明の末期腎不全症例の中に、1) 潜在する遺伝性腎疾患が多数存在する可能性があること、および2) 主要な遺伝性腎疾患の原因遺伝子であるPAX2 (Paired boc gene 2)に関連した遺伝子異常が存在する可能性があることに着目した研究である。これら背景から、PAX2により制御される遺伝子群に原因不明の末期腎不全をきたす遺伝子が存在すると仮説をたてた。 仮説について検討を行うために、PAX2遺伝子変異を有する腎コロボーマ症候群3例より疾患特異的IPS細胞を樹立し、ヒト腎発生過程におけるPAX2制御遺伝子の同定を行った。いずれの症例においても、疾患特異的iPS細胞より腎系譜細胞への分化誘導が可能であることを確認した。これら検体を用いて腎発生過程を模倣した系におけるCAGE解析を行った。網羅的解析を実施することにより、ヒト腎発生過程においてPAX2に制御されうる候補遺伝子を同定した。これらヒト腎発生過程におけるPAX2遺伝子制御遺伝子に関するデータは、今後の末期腎不全の新規原因遺伝子同定において基盤となりうるデータであり、現在、論文投稿中である。 抽出したPAX2制御候補遺伝子については、バイオインフォマティクスによる追加解析を行い、各遺伝子の更なる意義検討を行う。また、当研究室で集積している腎コロボーマ症候群の症例コホート解析および遺伝性腎疾患における既存の原因遺伝子の報告を収集することで、候補遺伝子の検証および末期腎不全進展に与える機序解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PAX2遺伝子変異を有する疾患特異的iPS細胞を樹立し、腎発生過程においてPAX2に制御される候補遺伝子を同定しており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に同定したヒト腎発生過程においてPAX2に制御されうる候補遺伝子の知見を基盤として研究を進める。抽出した遺伝子群が末期腎不全進展に与える影響、および遺伝性腎疾患の原因遺伝子としての可能性について、末期腎不全症例の臨床サンプルおよび遺伝性腎疾患の疾患コホートを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
計画は予定通り進行したが、培養実験に用いる試薬が予測より抑えることができたため次年度使用額が発生した。次年度における検証実験に用いる際の培養費用などに使用予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Identification of candidate PAX2-regulated genes implicated in human kidney development2021
Author(s)
Yuta Yamamura, Kengo Furuichi, Yasuhiro Murakawa, Shigeki Hirabayashi, Masahito Yoshihara, Keisuke Sako, Shinji Kitajima, Tadashi Toyama, Yasunori Iwata, Norihiko Sakai, Kazuyoshi Hosomichi, Philip M Murphy, Atsushi Tajima, Keisuke Okita, Kenji Osafune, Shuichi Kaneko, Takashi Wada
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Journal Title
Scientific reports
Volume: 11
Pages: 9123
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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