2020 Fiscal Year Research-status Report
心不全におけるERADによるミトコンドリア機能制御機構の解明と新規治療法の開発
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20K22902
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 宗一郎 九州大学, 大学病院, 医員 (00885410)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 心筋リモデリング / 小胞体ストレス / 小胞体関連分解 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は心筋リモデリングにおけるHERPUD1によるERADを介したミトコンドリア機能制御の解明に着目し、①心筋リモデリングによるERAD・HERPUD1の役割を明らかにすること、②ERADを介したミトコンドリア機能制御による心不全の新規治療法の開発を目指すものである。 研究初年度である本年度は心筋リモデリングおよび酸化ストレス下におけるHERPUD1の役割の解明を行った。また、アデノウイルスを用いたHERPUD1の機能解析を行った。 左冠動脈結紮モデルによる心筋リモデリングにおいて、心筋のhomocysteine-responsive ER resident ubiquitin-like domain 1 (HERPUD1)が7日目に増加した。この増加に伴って酸化ストレスの指標であるタンパクカルボニル化は増加した。術後28日目にはHERPUD1はベースラインレベルまで減少する一方でタンパクカルボニル化は更に増加した。心筋梗塞後心筋ではcleaved caspase3の増加を伴っていた。 培養心筋細胞に過酸化水素を投与するとHERPUD1が増加するとともにミトコンドリア呼吸能低下およびcleaved caspase3の増加を認めた。アデノウイルスによるHERPUD1の過剰発現は過酸化水素によるミトコンドリア機能低下およびcleaved caspase3の増加を抑制し、cell titer blueを用いた細胞死アッセイによる心筋細胞死を抑制した。 これらの知見からHERPUD1は酸化ストレスによる心筋細胞のミトコンドリア機能制御、アポトーシス制御に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた細胞実験、動物実験が仮説通りの結果が得られたため、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の通り、HERPUD1のノックアウトマウスを用いてHERPUD1の心筋リモデリングにおける意義とその機構を解明する。HERPUD1により制御されるミトコンドリアタンパクを同定する。
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