2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K22905
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中里 祐毅 宮崎大学, 医学部, 医員 (90885972)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / ケモジェネティックス / 神経免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、胸髄限局型の多発性硬化症モデルマウスの病変脊髄における神経細胞の免疫学的寄与の解明を目的とする。脊髄興奮性ニューロンの機能制御のためにアデノ随伴ウイルス (AAV) を用いて興奮性ニューロン特異的CaMKⅡαプロモーター制御下に人工的G蛋白共役型受容体(Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs : DREADD)を発現させ、モデルマウスを作製する。 現在、DREADDのプラスミドをクローニングし、293AAV細胞を用いたウイルス作製を進めている。 炎症状態での興奮性ニューロンと病原性CD4陽性細胞の相互作用を検討するため、in vitroの遊走アッセイを確立した。胎生期18日目の仔マウス脳より皮質ニューロンを採取、プレート上で14日間培養し、TNFα添加による24時間の前刺激を行った。8週齢マウスの脾臓よりMACSを用いてCD4陽性細胞を単離し、CD3/CD28抗体を用いて活性化させた。刺激したニューロンとトランスウェルに添加した活性化CD4陽性リンパ球を4時間、37℃で反応させ、反応後のトランスウェルを切離、DAPIで染色し、遊走細胞数を計測した。TNFαの添加量は10、30、60、100 μlに分けて検討し、TNFα 60 μl添加により最もリンパ球の遊走が促進された。CCL2の発現が処理後のニューロンで亢進しており、TNFα刺激によりニューロンのCCL2の発現が亢進し、CD4陽性リンパ球の遊走を促すことが示された。本実験系はin vivoでの脊髄ニューロンとCD4陽性リンパ球の直接的な相互作用を支持する結果である。今後本アッセイ系とモデルマウスを用いた実験により炎症状態で脊髄ニューロンから放出されるケモカインを網羅的に解析し、ニューロンの免疫学的側面を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延による試薬入手の遅れ、またDREADDを搭載するAAV作製に時間を要した。このため当初予定していた初年度中のモデルマウス脊髄へのDREADD投与に至っていない。一方で次年度に予定していたin vitroの遊走アッセイ系を確立することができたため、in vivoの実験を中心に計画を策定できる。
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Strategy for Future Research Activity |
DREADDを搭載したAAVの作製を進め、作製次第モデルマウス作製とAAVの脊髄内投与を行う。作製したサンプルを用いて免疫染色やPCR、フローサイトメトリーによる組織学的および分子生物学的解析を進める。
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