2021 Fiscal Year Research-status Report
腎臓再生医療の社会実装に向けた再生腎芽の凍結・融解法の確立
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20K22914
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤本 俊成 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50818507)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 腎臓再生 / 胎生臓器ニッチ法 / 凍結融解 / 前駆細胞 / 後腎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では再生腎芽を用いた新規腎再生法の臨床応用に向けて、再生腎芽の最適な凍結・融解法の確立を目的とした。後腎単独では胚凍結に用いられるガラス化法による凍結が可能であることが以前に報告されている。まず再生腎芽に対してガラス化凍結を適用したが、後腎の発育は問題なかったものの、凍結操作で腎被膜下の移植細胞が脱落するのか移植細胞の定着率が悪かった。また一時的にゼラチンやマトリゲル上で3D培養を行い、ネフロン前駆細胞が定着した段階でガラス化凍結を行うことを試みたが、培養中の立体構造の維持が困難であり、ホスト動物へ移植後の発育も不良であった。 後腎およびネフロン前駆細胞は各々単独では凍結・融解が可能であるため、凍結・融解後の後腎にネフロン前駆細胞を移植する方法を試みた。融解後の後腎では被膜が脆く、従来の腎盂側から穿刺したガラス針による移植方法では被膜下への細胞移植が困難であった。そこで穿刺針をより細くし、後腎表層から細胞を注入する方法へ改良することで、凍結後の後腎へのネフロン前駆細胞移植が可能となった。凍結後にネフロン前駆細胞を移植した後腎では、in vitroにおいて従来と同様にネフロン前駆細胞が定着・分化し、移植細胞由来ネフロンの再生が可能であった。また細胞移植方法の改良により、移植細胞を後腎被膜全体に注入することが可能となり、ネフロンの再生効率が上昇したことに加えて、同法で細胞移植した場合には凍結操作後も細胞脱落がなく、凍結・融解可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の細胞移植法の確立のため若干の遅れを生じた。現在は細胞注入法改良の後、再生腎芽の凍結・融解に成功しており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新規手法にて凍結前後の細胞移植で細胞定着率に比較検討を行っている。今後凍結・融解後の再生腎芽において、ホスト動物に移植することでin vivoにおいて尿産生能を持ったキメラ腎臓の再生を試みる。これにより凍結・融解を行った再生腎芽を用いても、従来同様に腎臓再生が可能であるかを検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しのため若干の遅れが生じた。またコロナ診療に時間を取られ、研究遂行のための時間を十分に確保できなかった。今後も当該研究計画に基づいて研究を行っていく。
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