2020 Fiscal Year Research-status Report
プロテオゲノミクスを用いた口蓋扁桃における糖鎖異常IgA1形成機序の解明
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20K22915
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大山 友香子 藤田医科大学, 医学部, 助教 (70879717)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | IgA腎症 / 口蓋扁桃 / IgAO結合型糖鎖 / 糖転移酵素 / サイトカイン / プロテオミクス / ゲノミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、IgA腎症患者の口蓋扁桃の異常糖鎖IgA形成における役割を明らかにすることである。第一に、IgA腎症口蓋扁桃からIgA産生B細胞を採取し、IgAO結合型糖鎖形成に関わる糖転移酵素の発現をコントロール群(慢性扁桃炎患者)と比較する。第二に、IgA産生B細胞が存在する組織中のタンパク質、RNAを抽出し、プロテオミクスおよびマイクロアレイ解析を行い、疾患バイオマーカーになり得る因子を網羅的に探索する。 まずはじめに、マウス脾臓をもちいて、扁桃から単核球を分離する手法を確立した。 また、6種類の糖転移酵素とインターナルコントロールのプライマーを作製し、ヒト血中のB細胞を用いて各糖転移酵素がプライマーダイマーを形成することなく増幅できることを確認した。 COVID-19 パンデミックによる手術件数減少のため、扁桃サンプルの回収が遅れていたが、2021年に入り、口蓋扁桃摘出術件数が回復し、現在IgA腎症患者2例、慢性扁桃炎患者2例のサンプリングが完了している。扁桃単核球は患者あたり3-17x10^7個回収できている。採取した扁桃単核球を抗CD19抗体、抗IgA抗体、抗IgM抗体で染色し、フローサイトメトリーで細胞分画を確認すると、CD19陽性細胞の約50%をIgM陽性細胞(Naive B cell)が占め、抗IgA抗体陽性細胞(post IgA-class switched B cell)は約10%であった。現在セルソーターを用いてCD19陽性IgA陽性B細胞およびCD19陽性IgM陽性B細胞、CD19陰性IgA陽性細胞(IgA plasma cell)を分画し、RNA抽出後サンプル保存している。 口蓋扁桃組織からは解析に十分な量のRNA抽出およびタンパク質抽出ができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19パンデミックのため、扁桃摘出術の手術件数が減少し、患者登録がやや遅れている。当初は抗CD19抗体を用いた磁気ビーズ法でB細胞を分離する予定でいたが、フローサイトメトリーの結果IgM陽性細胞の割合が多いことが分かり、現在セルソーターを用いてIgA陽性B細胞の単離の手法の変更を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
口蓋扁桃の凍結切片を用いて、IgA腎症患者とコントロール群の組織学的形態差違を明らかにする。また、フローサイトメトリーによるCD19陽性細胞の分画の差違を明らかにするとともに、凍結切片を免染し、それらの分布の違いを明らかにする予定である。 現在セルソーターでNaiveB細胞、post IgA-class switched B cell、IgA plasma cellの単離を進めている。それぞれの糖転移酵素の変化を比較することで、B細胞分化の各段階における免疫グロブリンO型糖鎖の変化が解明される可能性がある。 患者登録数が各群n=10を超えたら、口蓋扁桃B細胞の糖転移酵素の発現量解析、扁桃組織プロテオーム解析および扁桃組織マイクロアレイ解析を施行する予定である。 プロテオーム解析や扁桃組織マイクロアレイ解析にてターゲット因子が検出された際はそれらの局在を明らかにする方策である。
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Causes of Carryover |
初年度は口蓋扁桃のサンプリング中心に実験をすすめている。口蓋扁桃摘出術患者登録数がIgA腎症群10例、口蓋扁桃群10例を超えたところで、高分解能LCMSを用いたプロテオーム解析や口蓋扁桃組織RNAマイクロアレイ解析を進める予定である。 これらの解析は高額になるため、初年度費用を温存し、次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Racial heterogeneity of IgA1 hinge region O-glycoforms in patients with IgA nephropathy2020
Author(s)
Yukako Ohyama, Samantha Chiurlia, Sharon N. Cox, Nikoletta-Maria Kouri, Maria J. Stangou, Hisateru Yamaguchi , Kazuki Nakajima , Daijo Inaguma, Midori Hasegawa, Yukio Yuzawa, Naotake Tsuboi, Aikaterini A. Papagianni, Francesco P. Schena, Kazuo Takahashi
Organizer
アメリカ腎臓学会
Int'l Joint Research
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