2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞由来自己組織化腸管スフェロイドによるグラフト製造および移植法の開発
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20K22920
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水谷 知裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (80632588)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 腸管スフェロイド / iPS細胞 / 腸管グラフト / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、未だ達成されたことのない、全層性の管腔構造として腸管機能を有する「iPS 細胞由来の腸管グラフト」を作出するために、研究代表者らが独自に開発を行なってきたiPS 細胞由来の「自己組織化腸管スフェロイド」を用い、実際の移植治療に応用可能な機能的腸管グラフトへと成熟させる技術の開発、および臨床応用への検証としてマウスを用いた「自己組織化腸管スフェロイド」の移植技術の開発を目指す。 本年度は、「ヒトiPS細胞由来自己組織化腸管スフェロイドの成熟最適条件の検討」の計画に従い、ヒトiPS細胞からスフェロイド形成用特殊プレートにより誘導された腸管スフェロイドの高効率で安定的な培養条件を至適化するために、自己組織化腸管スフェロイドを用いて、in vitroにおいて浮遊状態での培養環境におけるスフェロイドの成熟条件の検討を行なった。 幹細胞培養やiPS細胞に対する分化誘導で用いられる網羅的な培養成長因子、および発生生物学の見地から重要なシグナル因子に候補を絞り、多様な培養条件を検討することにより、腸管スフェロイドが浮遊状態においても迅速かつ効率的に生育し、上皮細胞と間質細胞からなる自己組織化腸管スフェロイドとなる条件を見出した。また、この樹立された条件で生育するスフェロイドを免疫不全マウスに移植することで、in vitroで生育した自己組織化腸管スフェロイドが移植によってin vivoにおいて腸管組織へと成熟することを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、独自に樹立した浮遊培養による腸管スフェロイドの安定的な誘導、培養条件の確立に成功している。加えて免疫不全マウスへの移植実験により腸組織への安定的な成熟を確認しており、自己組織化腸管スフェロイドの培養条件は樹立できていることから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度樹立された自己組織化腸管スフェロイドの培養条件を用いて、さらに複合的構造を有する自己組織化腸管組織の構築に向けた開発を進める。また、腸組織の領域特異的な分化系譜へのスフェロイド誘導条件を見出しており、in vitroにおける部位得意的な腸管グラフト作出技術の開発についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究の過程で分化誘導および培養維持の高効率な条件を比較的早期に確立することが可能であった。その一方で、免疫染色による性状評価を優先したため、当初予定されていた発現遺伝子解析を今年度施行しなかった。次年度に網羅的発現遺伝子解析を実行する計画である。
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Research Products
(2 results)