2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K22933
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
武藤 朋也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90723560)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 自然免疫シグナル / 造血器腫瘍 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢は造血幹細胞において体細胞変異を蓄積させクローン性造血を引き起こす。特に血液学的異常を伴わないクローン性造血はCHIPと称されている。CHIP関連遺伝子変異体は造血器腫瘍への形質転換のリスクが高い事が明らかになっているものの、その機序の詳細な理解には未だ至っていない。申請者は、先行研究の結果とは相反する知見として、自然免疫シグナル低下がCHIP関連遺伝子変異体の造血器腫瘍への形質転換と関与していることを見出した。この知見と符合するように、自然免疫シグナルをFLT3-ITDのMPNモデルマウスにおいて増強させると、MPNの表現型を減弱させることも確認した。この現象のメカニズム解明のため、自然免疫シグナル経路において中心的役割をはたしているE3ユビキチンリガーゼTRAF6の新規標的タンパクを同定することを目指し、ユビキチン化ペプチド(K-ε-GGを含むペプチド)に対する抗体と質量分析器を用いて、E3リガーゼTARF6の白血病細胞における基質をリストアップした。この結果から、TRAF6とミトコンドリア機能との関与が示唆されたので、TRAF6KD白血病細胞株におけるミトコンドリア機能を評価したところ、予想どおりミトコンドリア膜電位とTRAF6発現量に関連が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究から、ミトコンドリア機能に関するタンパクAがTRAF6の基質候補として考えられ、研究を進めていた。しかし、293T細胞を用いた検証実験の結果から、タンパクAがTRAF6の基質であることの仮説を証明することはできなかった。このような状況のため、研究は当初の計画よりやや遅れて進んでいる。しかしながら、別アプローチをとることによりミトコンドリア機能に影響を与えるタンパクBがTRAF6の発現と相関することを見出しており、現在タンパクBの血液腫瘍における役割を検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパクBの発現ベクターを用いてTRAF6KD白血病細胞の表現型における有用性を評価する。具体的には、細胞増殖能、ミトコンドリア機能、代謝機能への影響を評価する。これらにより白血病細胞の恒常性の維持における自然免疫シグナルとミトコンドリア機能のクロストークの存在、ならびに病態における意義を検証する。
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Causes of Carryover |
実験を進める中で当初の仮説と異なる結果を得た。そのため、予定していた実験の延期・中止を余儀なくされたため。
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