2021 Fiscal Year Annual Research Report
生体内破骨細胞のシングルセル解析による骨カップリング機構の解明
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20K22938
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 彬人 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10881740)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 骨カップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
生体の骨は自ら再構築を行い、その強度を生涯にわたって維持する。この再構築の過程において破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成は釣り合っている必要があり、両細胞は密接にコミュニケーションをとっていると考えられている。生体内で破骨細胞は骨吸収を終えた後その性質を変化させて、骨吸収相から骨形成相へと移行させる(骨カップリングを行う)働きがあると考えられるが、破骨細胞と骨芽細胞が生体内でどのような分子メカニズムを介して互いを制御しているのか、詳細なメカニズムは明らかとなっていない。申請者は、個体を活かしたままで骨組織を観察する生体イメージング研究を通じて、破骨細胞と骨芽細胞が相互作用を行う様子を観察してきた。またこれらの技術に次世代シーケンサーやノックアウトマウスを用いた遺伝学的解析を組み合わせることで、破骨細胞と骨芽細胞のコミュニケーションに関わる分子を同定し、骨形成や骨再生を促進しうる新規骨再生医薬の開発につなげることを目指してきた。具体的には、生体骨組織の網羅的遺伝子発現解析を行うことで、セリンプロテアーゼ阻害作用をもつ低分子タンパク質SLPIが生体内の骨芽細胞で発現していることを同定し、骨芽細胞に直接的に作用して分化を促進し、骨芽細胞と破骨細胞の細胞間相互作用を増加することで、破骨細胞と骨芽細胞の両方の機能を制御し、骨量を維持することを明らかとした。この研究結果は2021年度に論文報告することができた(Morimoto et al., Nat Commun, 2021.)。さらに、SLPIが骨芽細胞内での細胞内代謝に与える影響について現在解析中である。
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[Journal Article] SLPI is a critical mediator that controls PTH-induced bone formation2021
Author(s)
Akito Morimoto, Junichi Kikuta, Keizo Nishikawa, Takao Sudo, Maki Uenaka, Masayuki Furuya, Tetsuo Hasegawa, Kunihiko Hashimoto, Hiroyuki Tsukazaki, Shigeto Seno, Akira Nakamura, Daisuke Okuzaki, Fuminori Sugihara, Akinori Ninomiya, Takeshi Yoshimura, Ryoko Takao-Kawabata, Hideo Matsuda, Masaru Ishii
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 12
Pages: 2136
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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