2023 Fiscal Year Research-status Report
IGF-1依存的ヒト軟骨細胞の増殖・分化制御機構の解明
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20K22939
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤本 正伸 鳥取大学, 医学部, 助教 (80745224)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | iPSC由来軟骨細胞 / iPS細胞 / IGF-1 / IGF1R |
Outline of Annual Research Achievements |
当初、ヒトiPS細胞からの軟骨細胞の分化誘導用プロトコールをいくつか試したものの、軟骨細胞の分化誘導はできなかった。しかし、本年度後半からToguchidaらのプロトコール(Stem cell reports. 2021;16(3):610-625.)を利用し、Sclerotome (SCL)、軟骨細胞(Cho)に分化誘導した。サフラニンO染色で赤く染まる軟骨基質が確認できる軟骨細胞塊であることが確認できた。 誘導した軟骨細胞の分化段階を評価するため、iPSC、SCL、Cho (Day 14, 28, 57)の各段階でのRNAを抽出し、quantitative PCR (qPCR)、ΔΔCt法を用いて未分化マーカー (NANOG, POU5F1)、SCLマーカー (PAX1, PAX9, FOXC2)、軟骨細胞マーカー (PTHLH, SOX9, ACAN, COL2A1, RUNX2)、IGF1Rの相対発現量を比較した。qPCRの結果では、先述論文に近い分化誘導段階が確認できた。具体的には、Cho Day28でSOX9, ACAN, COL2A1, RUNX2の発現が高値で、Safranin Oに染色される細胞外基質に包埋された増殖軟骨細胞様の細胞が確認された。また、Cho Day57ではCho Day28と比べてSOX9, ACAN, COL2A1の発現は低下、RUNX2の発現量は同程度で、肥大軟骨細胞様の細胞が確認された。IGF1R発現量はhiPSC比でCho Day28, 57でそれぞれ 2.65倍、1.8倍に増加した。 次段階では、IGF-1、インスリンといった成長因子の濃度勾配を設けて、誘導軟骨細胞の遺伝子発現の変化や、IGF-1シグナルを各分化誘導レベルで確認する。今後、RNA-seqで評価を実施し、IGF-1依存的な調節遺伝子群を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPSC由来軟骨細胞の効率的な分化誘導が可能となったが、誘導までに時間がかかるため。
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Strategy for Future Research Activity |
安定的にiPS由来軟骨細胞が作成できるようになったため、大量に軟骨細胞を誘導できるように、実験方法を改変する。予備実験を行い効率的なRNA抽出タイミングを確認したため、今後作業を加速させる。
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Causes of Carryover |
軟骨細胞の分化誘導が進んだが、RNA-seqが実施できておらず、次年度使用が生じた。今後、RNA-seqおよび論文化のための経費に充てる。
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