2020 Fiscal Year Research-status Report
リパーゼ阻害剤を用いた急性膵炎および膵液瘻治療のための基盤手法開発
Project/Area Number |
20K22948
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
内田 雄一郎 藤田医科大学, 医学部, 助教 (00763997)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | 膵液瘻 / 脂肪分解酵素阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞培養実験による親水化脂肪分解酵素阻害剤の生体適合性評価(in vitro)を実施した。 複数の条件で親水化脂肪分解酵素阻害剤を作成し、正常細胞株と様々な条件で共培養し、細胞毒性を評価した。膵腺房細胞をラット膵臓から単離する方法について予備的検討を行い、これを確立した。これを用いて親水化脂肪分解酵素阻害剤の脂肪分解阻害効果評価を行った。適切な投薬条件により、脂肪分解による細胞障害性を抑制できる可能性が示唆された。 親水化脂肪分解酵素阻害剤を健常ラットに投与し、生体適合性および適切な投与量についての検討を行った。 高脂肪食により誘導した肥満ラットにおいて、膵切離による膵液瘻動物モデルを作製した。高脂肪職肥満ラットでは、内臓脂肪量の増多を認めた。腹腔内の脂肪に熱損傷を加えることで、膵切離を実施したあとの膵液瘻病態の顕著な悪化を認めることが分かった。本結果はこれまでの先行研究でしめされていた脂肪分解が膵液瘻病態の増悪因子であることを支持する結果である。従来は薬剤(トリグリセリド)を用いた動物モデルでこのメカニズムが示唆されていたが、今回の検討では薬剤の投与は行わず、より臨床・手術の状況に近いモデルで同様の結果が再現されたため、非常に重要な知見であると考えられる。本検討の結果について、学会報告を行った。 作製した動物モデルを用いた治療実験のための予備的検討を実施し、適切な投薬量・方法についての知見をえた。 急性膵炎動物モデルの作製を行い、既報に基づいて作製に成功した。これを用いた親水化脂肪分解酵素阻害剤の治療効果検討の予備的検討を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親水化脂肪分解酵素阻害剤のin vitroの生体適合性評価、検討を予定通り終了した。膵液瘻動物モデルの作製を令和3年度に予定していたが、前倒しで作製に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
作製した膵液瘻動物モデル・急性膵炎モデルを用いて、親水化脂肪分解酵素阻害剤を用いた治療実験を実施する。患者臨床データを用いて脂肪分解が膵液瘻病態に与える影響を明らかにする研究を予定通り行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会・研究ミーティングなどがWEB開催となり、旅費が不要になった。また上記の理由にて実験が予定通り実施できないことがあった。研究者の異動にともない、動物の購入などに当初想定とことなる状況が生じた。一方で想定よりも効率的に研究計画が進捗したため、研究全体には大きな遅れが生じなかった。 今年度については現状に対応した実施計画が立てられており、前年度未使用分も含めて支出が生じる予定である。
|
Research Products
(1 results)