2020 Fiscal Year Research-status Report
HLAのエピトープ解析による肝移植後拒絶反応のメカニズム解明
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20K22950
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
姚 思遠 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70881944)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 肝移植 / HLA / エピトープ / 抗体関連拒絶 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝移植におけるドナーとレシピエント間のHLAエピトープ適合度による拒絶、予後への影響を検討するにあたり、まずは抗体関連拒絶の発症要因となる移植後のドナー特異的抗HLA抗体(Donor-Specific Antibody: DSA)の発生にエピトープミスマッチ数がいかに影響しているか検討した。京都大学病院における生体肝移植症例418例のうち、移植前DSA陽性例などの除外基準を満たした321例(成人177例、小児144例)について解析したところ、DSAの発生は76例(24%)に認めた。HLA-A, B, C, DR, DQ座のアレルミスマッチ数とエピトープミスマッチ数の比較では、アレルミスマッチ数が同じでもエピトープミスマッチ数は大きく異なることが示され、DSA陽性例は、陰性例と比較し、HLA-DR、DQ、ClassⅡのエピトープミスマッチ数が有意に多いことが判明した(小児例:p=0.0005、p<0.0001、p<0.0001)。さらに、エピトープミスマッチ数に対しHLA-DQ DSA発生をアウトカムとしたROC曲線(AUC:0.8257)から得られたミスマッチ数のカットオフ6以上の症例で有意にDSA発生を認めた(p<0.0001)。以上より、ClassⅡのエピトープミスマッチ数がDSA発生に相関することが判明した。しかし、ミスマッチ数が同じでもDSA発生に差があることから、やはり個々のエピトープの免疫原性に差があることが影響していると考えられた。実臨床への還元として移植前のドナー選定や、移植後の免疫抑制療法の最適化を考える上で、エピトープは膨大な多型性を持つことから機械学習を用いて免疫原性の高い候補エピトープを抽出し、それらをリンパ球混合試験による基礎実験で検証する方針としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で必要な資材が手に入らないため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫原性の高いエピトープ候補を同定するにあたり機械学習を導入することを考慮している。生物統計家への協力依頼はすでに施行すみである。また、さらなる症例数を増やした解析のために、抗原レベルのHLAタイピングしかない症例に対して追加のアレルレベルでのタイピングも適宜行っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で必要なHLA測定関連の抗体やキットが手に入らず、実験が滞っていた。 今年度は資材の確保に努めたいが、感染症の影響で先行きは不透明である。
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Research Products
(8 results)