2021 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインストーム後脳症モデル動物を用いたIL-17制御による新規治療法の開発
Project/Area Number |
20K22952
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
宮嶋 久雄 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (80874362)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 脳症 / サイトカインストーム / ARDS / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) に伴うサイトカインストームが脳機能障害を引き起こすことが示唆されているが、その病態メカニズムは未だ不明な点が多い。本研究では、ARDSに続発するサイトカインストーム後脳症を動物モデルにより再現し、血液脳関門の破綻に関与するIL-17に着目した病態解明を目的とし研究を行った。 LPS (Lipopolysaccharide) の気管内投与によるARDSモデルマウスを作製し、ELISA法により、血液中や気管支肺胞洗浄液中、肺組織における各種サイトカイン上昇を見出した。継時的な発現変化を調べた結果、血漿中IL-17の上昇は、急性期のみに起こることが明らかとなった。次に、全身性のサイトカインの上昇が、脳にどのように影響するかについて、ARDS急性期脳の各部位毎に解析を行った。遺伝子改変マウスを使用した免疫組織化学染色法よる解析の結果、脳実質内でIL-17発現細胞は観察されなかったが、髄膜中に存在する一部の細胞がIL-17を発現し、分泌していることを見出した。さらに、ELISA法及び定量的RT-PCR法による解析を行い、IL-17シグナルの上昇の結果の可能性として、脳実質の全ての部位で、IL-17受容体に加えて、IL-6やIL-1β、TNFα等の炎症性サイトカインの急激な発現上昇を認めた。これらの結果は、ARDS後の脳内炎症が脳全体で起こっていることを示唆している。また、ARDS後のサイトカインストーム暴露を模した新規動物モデルの確立するために、並体結合マウス使用したマウスモデルを確立した。今後はこれまで得られた結果を基に、ARDS発症後のマウス脳機能への影響を組織学的、行動学的に解析する予定である。
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