2020 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR ScreeningによるIPMN癌化機序の解明
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20K22955
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
奥村 隆志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00883422)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | IPMN / 膵癌 / オルガノイド / syngenic model / CRISPR Screening |
Outline of Annual Research Achievements |
膵癌は非常に予後が悪い消化器癌の一つである。IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)は膵臓に発生する嚢胞性腫瘍で膵癌の前癌病変であることが知られておりKRAS、GNAS、RNF43といった遺伝子変異が高頻度で見られる。しかし、実際の発癌の過程においては具体的にどのような遺伝子変異の蓄積が重要なのかは未だ不明である。本研究は、KRASなどの遺伝子変異をマウス由来膵オルガノイドに導入することでまず疑似IPMN膵オルガノイドを作成するとともに、それを用いたsyngenic modelを確立する。さらに、網羅的遺伝子スクリーニングであるCRISPR Screeningを使用することで、疑似IPMN膵オルガノイドモデルの悪性化責任遺伝子を同定することでIPMNの発癌過程を解明することを目的に開始された。 本年度は、マウス膵オルガノイド(マウス由来疑似IPMNオルガノイド)の作成のためのp48-CreマウスとLSL-KrasG12Dマウスを交配させたマウスモデル作製にむけて、倫理審査を含む動物実験環境を整えた。しかし、本年度は実験基盤作成の進行が滞り、マウス交配にまで至らなかった。また、それらマウス由来疑似IPMNオルガノイド樹立に先立ち、膵オルガノイドを安定して作成するプロトコール・手技の確立のため切除検体を用いたヒト膵癌由来オルガノイド樹立を行った。計10例のヒト膵癌オルガノイドを樹立し、いずれも切除検体の病理学的特徴を保持しており、高い効率で膵癌オルガノイドを樹立するための手技が確立できた。これらヒト膵癌オルガノイドをcancer panel sequencingに提出し、その遺伝子変異を評価した。そのうち1例はGNAS変異を有しており、IPMN由来浸潤性膵管癌の可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Cre-loxPシステムを使用したマウス由来疑似IPMNオルガノイドの作成にむけてp48-CreマウスとLSL-KrasG12Dマウスを交配させたマウスモデル作製を試みたが、動物実験基盤を構築する段階で進行が滞り、マウスモデル作製に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
必要なマウス凍結胚は既に所有できており、当初予定していたマウス由来疑似IPMNオルガノイド作成にむけて早急にマウスモデル作製を進める。また、マウスモデル作製に難渋した場合は、ヒト正常膵オルガノイドもしくは既に樹立したヒト膵癌オルガノイドに、CRISPR-Cas9によるGnas変異、Rnf43変異といった新たなゲノム変異を付与したモデルを作成し、IPMNからの発癌過程および増殖・転移能の変化を評価していく。
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Causes of Carryover |
マウス由来疑似IPMNオルガノイドの作成にむけてp48-CreマウスとLSL-KrasG12Dマウスを交配させたマウスモデル作製を計画していたがまだ作成できていないため。 次年度はマウス費、研究用器材、試薬などに使用予定である。
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