2021 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺肥大症の発症における慢性炎症とギャップ結合タンパクの関与の解明
Project/Area Number |
20K22976
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 仁 京都大学, 医学研究科, 助教 (10880015)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 前立腺肥大症 / 慢性炎症 / ギャップ結合 / コネキシン43 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺肥大症は高齢男性において高頻度にみられ、進行に伴う下部尿路症状は患者のQOLを大きく損なうことは広く知られている。近年、アンドロゲン経路以外に、メタボリックシンドロームおよびそれに関連した慢性炎症が前立腺肥大症の発症や進行に関与することが報告されているが、その発症機序は依然不明である。ギャップ結合・ヘミチャネル構成タンパクとして知られているコネキシン43(Cx43)は、細胞間伝達によって炎症の伝播・増幅に重要な役割を果たし、炎症性疾患に対する新たな治療ターゲットとなりうる可能性が示唆されている。 本研究では、前立腺炎や前立腺肥大症の発症機序におけるCx43の役割を探求すべく、①前立腺特異的Cx43ノックアウトマウスを作成し、自己免疫性慢性前立腺炎モデル化を行う。②コントロール群と比較し、炎症が前立腺肥大症を引き起こすメカニズムへのCx43関与を分子生物学的・生理学的に解明する。具体的には、前立腺重量やHE標本での上皮、間質細胞の差異、増殖シグナルに関与する遺伝子発現、タンパク発言の変化、排尿行動測定を行う。 上記2点を進める予定であったが、2020年度には前立腺特異的Cx43ノックアウトマウスの作成が想定通りに進まず、解析をするに十分なマウス確保に至っていなかった。 2021年度には前立腺特異的Cx43ノックアウトマウスの作成が完了し、十分なマウスを確保することができた。さらに、ノックアウトマウスを用いて前立腺重量の変化を観察したが、20週令マウスではコントロール群と有意な差が認められなかったため、今後さらに週令を経たマウスにて評価予定である。それでも変化がなければ、前立腺肥大症を誘導させる刺激(炎症、テストステロン)を加えて差が生じるかどうかを観察予定である。
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