2020 Fiscal Year Research-status Report
上皮性卵巣癌腹膜播種、がん幹細胞に対するスクアレン合成経路阻害の有効性の検討
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20K22978
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中江 彩 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (60880961)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | USP32 / FDFT1 / メバロン酸経路 / 卵巣癌 / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮性卵巣癌は5年生存率が約50%に過ぎない非常に予後不良な悪性腫瘍である。腹膜播種は卵巣癌診断時あるいは再発時にしばしば認められ、腹水貯留・腸閉塞によって患者の全身状態を悪化させる予後不良の病態であり、治療に難渋する腹膜播種を制御しうる新規治療薬の発見が望まれる。 我々のグループが行った先行研究である、卵巣癌腹膜播種治療標的を探索するプール型 shRNAおよび sgRNAライブラリーを用いた in vivo スクリーニングから得た治療標的候補遺伝子リストと、Oncomine データベースよりダウンロードしたヒト卵巣漿液性腺癌組織で高発現を示す遺伝子リストを組み合わせ、更に臨床的意義が高いと考えられる候補遺伝子を絞り込んだ。その中でも、様々な細胞機能を制御するユビキチンプロテアソームシステムに属する脱ユビキチン化酵素の一つである USP32 (ubiquitin specific peptidase 32) に着目、卵巣癌における癌遺伝子としての機能、及び免疫沈降質量分析法にて新規基質蛋白 FDFT1 (Farnesyl-Diphosphate Farnesyltransferase 1) を同定した。同酵素はコレステロールを合成するメバロン酸経路に属する酵素であり、USP32 - FDFT1が、癌幹細胞形質の獲得に寄与している可能性、及び卵巣癌腹膜播種に対する新規治療標的になりうる可能性を示した。本研究では 、引き続き、USP32 及びFDFT1 のがん幹細胞における役割について更に解明を進め、治療戦略として確立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
USP32が、卵巣癌における癌遺伝子としての機能していること、また新規基質蛋白FDFT1を脱ユビキチン化により安定化させることでがん幹細胞形質獲得に寄与していることについて、英文誌掲載受諾に至ったが、その過程に予想外の時間を要した。そのため、新たに抗がん剤抵抗性やがん幹細胞における役割について実験を進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当院で実施される卵巣癌手術の際に、余剰検体より、原発病変、腹水及び腹膜播種巣を一部採取する。既報の卵巣癌がん幹細胞マーカーCD44、CD117、CD133、EpCAM、ALDH等にて幹細胞を回収し、同細胞におけるUSP32及びFDFT1発現を評価し、ヒト卵巣癌組織における幹細胞でのUSP32ーFDFT1の意義を検討する。
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Research Products
(2 results)