2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜神経節細胞障害を高感度に検出するウイルスベクターの作成と薬剤スクリーニング
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20K22991
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢花 武史 東北大学, 大学病院, 特任助手 (30725213)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | In vivo imaging / Ecel1 / Retinal ganglion cell / Glaucoma |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は我が国の中途失明原因の第一位の疾患であり、視覚障害によるQuality Of Life (QOL) の低下とそれに伴う医療費の増大は社会的な問題となっている。このため、緑内障の病態を明らかにし、有効な予防及び治療を講ずることは重要な臨床課題である。本研究では、遺伝子導入技術及び眼底画像機器を組み合わせることで、生体内の細胞の可視化による評価法を確立し、ラット緑内障モデルにおける網膜神経節細胞(RGC)の細胞死の病態解明を目指す。緑内障の病態の主体はRGCの障害であり、我々はこれまでに軸索障害モデル動物において障害の初期から安定して発現するendothelin-converting enzyme-like 1(Ecel1)遺伝子がRGCで特異的であることを発見した。ウイルスベクターを用いた遺伝子操作によりEcel1を可視化させ、生体内でRGCを評価する手法について検討する。本研究は、このin vivo imaging技術の確立を目指し、さらには、新たな治療の評価手法としての有用性について検討を行う。本年度は、ラットに導入するウイルスベクターの作成を目標とした。まず、遺伝子データベースでEcel1遺伝子のプロモーター配列を確認し、約2000bp長の配列を増幅するためのプライマーを設計した。、デザインされたプライマーが機能するか、PCRで確認した上で、過去に蛍光タンパクを導入している大腸菌プラスミドへヒトゲノムのEcel1プロモーター配列を導入した。その大腸菌を培養し、プラスミドを増やした後、導入されたEcel1領域が正確かシークエンサーで解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電気泳動にてプラスミドに導入された遺伝子サイズはEcel1遺伝子と同サイズであることが確認できており、またシークエンスの結果でおおよその領域でEcel1と合致しているため、プラスミド作成は進捗している状況であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
シークエンスで読めなかった領域を再度解析し、導入された遺伝子がEcel1遺伝子に矛盾がないことが確認されれば、アデノウイルスを用いてラットに導入する段階に入る。すでに当施設では、In vivoイメージングによりラット網膜を観察するための機器(ミランテ、ニデック社)などの環境は整っているため、Ecel1遺伝子が導入されたラット網膜のイメージングは可能である。今度は、ラットの視神経切断することでRGCが蛍光性を獲得するかイメージングを行い、その蛍光発現細胞がRGCであるか網膜組織の免疫染色法で確認する。さらには、視神経切断を含めた様々な緑内障を再現する障害を加え、リアルタイムでRGCの経時的変化を評価していく。最終的には、神経保護薬などの創薬開発の評価法として応用していく。
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Causes of Carryover |
プラスミド構築が年度をまたがったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、ウイルスベクター作製と動物を用いたイメージングのために使用する予定である。
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