2020 Fiscal Year Research-status Report
遷延性術後痛における、CGRP-RAMP1系の病態生理学的意義の解明と応用展開
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20K22999
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松井 周平 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (10770977)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 遷延性術後痛 / 術後痛 / 炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画を立てるために文献検索、ディスカッション、マウス繁殖準備、機材準備を行った。研究実施のための実験計画書を作成中である。 遷延性術後モデルの痛覚プライミング発症に用いる炎症物質として、当初はPGE2の使用を予定していた。しかし、過去の痛覚プライミングに関する研究を参考に本実験ではカラギーナンを用いることが適切であるという結論に至った。カラギーナンによる炎症が消褪するタイミングと足底切開による二回目の侵襲のタイミングを考慮した。 カラギーナンは紅藻類から抽出される多糖類の植物性ゴムで、マウスの後肢足底に皮下注入することで炎症を惹起させる。カラギーナンは、末梢神経には直接作用せず、炎症に伴う痛覚過敏を評価するのに適している。 注入後数時間で炎症反応による痛覚過敏が生じる。その後、数日間炎症反応が持続し炎症の消褪とともに痛覚過敏が消失する。痛覚過敏が消失したタイミングで足底切開による二回目の侵襲を施す計画である。 また、文献検索の結果、カラギーナンのよるマウス後肢足底の炎症および痛覚過敏に対して、末梢組織および中枢神経におけるマクロファージやミクログリアの関与を示す証拠を得た。そのため、われわれが注目しているCGRPと末梢組織における組織修復性M2マクロファージの痛覚プライミングにおける役割を検証する上で、カラギーナンを使用したマウス後肢足底炎症モデルを用いることは研究遂行に有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属組織の人員不足により研究日が確保できないため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は研究日の確保が期待できるため、研究日の確保後に直ちに着手する。
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Causes of Carryover |
初年度は所属組織の人員不足により研究日がない状態であったため、実験計画の目処がたたず研究の進捗が遅れた。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は研究日が確保見込みであるため、研究進捗が見込まれる。初年度予定していた、マウス繁殖・飼育およびモデル作製・評価に使用するための機材・材料を、次年度内に購入し使用する計画である。もともと次年度に計画していた免疫染色、リアルタイムRT-PCR法などの解析に使用する機材・材料も次年度内に購入し使用する計画である。速やかに遂行する。
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