2020 Fiscal Year Research-status Report
Nanowire capture genomic biopsy of urine in patients with brain tumors in 60 minutes
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20K23000
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 脳腫瘍学 / ゲノム / バイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍の治療に対する遺伝子診断の重要性が増す中、本研究では遺伝子の一塩基多型(SNP)に焦点を当て、脳腫瘍の術中迅速遺伝子診断及び術前の非侵襲的遺伝子診断を目指した。 脳腫瘍には、IDH1 R132H遺伝子変異をはじめ、IDH2, TERT, PIC3CA, EGFR, BRAF, PDGFRA, CTNNB1, H3F3Aなどの遺伝子に変異が見られる。これら遺伝子変異により疾患の診断が可能であり、これらを術中迅速SNPs装置により同定することは、患者の治療、予後に極めて重要である。本研究ではまずIDH2, EGFR, BRAF, H3F3Aらのホットスポット変異に対するQプローブの設計・作成を行った。これらプローブについて、臨床腫瘍検体を用いてi-Densy装置で解析した。具体的には、作成したQプローブを対象DNAに水素結合させ、加熱してある一定の温度なると結合が変性されて発光する。1塩基の変化により変性温度が変化するため、温度差から遺伝子変異が判断可能となった。TERT, PIC3CA, PDGFRA, CTNNB1等遺伝子変異に関しては現在それぞれのホットスポットに対するプローブを作成中である。 また、同定された遺伝子異常の再確認のために、同一腫瘍組織検体を用いて、QIAGENキットによりDNA抽出し、サンガーシークエンス法により適切な結果が得られたことを確認した。 今後の課題は、引き続き各遺伝子に対してプローブの作成を完成させると同時に、作成したQプローブの感度をもっと上げて、患者の尿、髄液中の微量DNAからも遺伝子診断可能にすることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の目標はほとんどの原発性脳腫瘍に対応できる術中オールインワン診断システムを構築し、臨床的有用性を実証することであったが、プローブの開発が予想以上に困難で、また新型コロナウイルス流行の影響で手術腫瘍検体の収集・整理が予定どおり進んでいないため、設計作成したプローブの検証を遺伝子ごとに十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず引き続き遺伝子ごとのプローブの作成を完成させ、脳腫瘍術中オールインワン診断システムの早期構築に努める。また、患者の髄液、尿などからセルフリーDNAを捕捉し、SNPs解析装置と組み合わせ、より感度の高いリキッドバイオプシーを行う。これらを疾患ごとのセットとし、検査会社とも連帯して、保険収載が可能になるよう活動をする。
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Causes of Carryover |
当初購入予定であったプローブ開発のための実験器具、試薬等物品が所属研究室にすでにあり、物品購入費が大きく抑えられたため。また、新型コロナウイルスの流行により、学会等出張が少なく、旅費が大きく抑えられたため。 次年度使用額は、次世代シークエンサーも用いたより高度な解析をするために必要な高性能パーソナルコンピューター及びソフトの購入費、及びナノワイヤデバイスとi-Densy解析装置の使用費、必要キット購入費、学会等出張費として使用する計画である。
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