2022 Fiscal Year Annual Research Report
A New Strategy for Prevention of Chronic Radiation Ulcer Using Placental Mesenchymal Stem Cells
Project/Area Number |
20K23006
|
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
西條 広人 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 被ばく医療部, 医長 (40882460)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
Keywords | 放射線皮膚障害 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線皮膚障害は熱傷とは異なり、被ばくから数日~数週間が経過してから皮膚組織に障害を生じる。損傷の程度が比較的軽度で、また範囲が極めて小さい場合には軟膏などを用いた保存的加療でも治癒が可能だが、皮下組織以下に達する深い潰瘍で壊死潰瘍を伴う場合や広範な場合は外科的治療が選択されることもある。外科的治療の基本はデブリードマンと形成外科的再建手術で、周囲の放射線照射の影響を受けた組織ごと広範に切除が必要となる。このような外科的治療は基本的に障害の範囲、深さなどが確定してから行われることが基本であり、被ばく直後より投与することで組織障害を軽減できるような薬物などを用いた治療法はいまだない。本研究の目的は、成長因子分泌効果によって創傷治癒を促進すると考えられる胎盤組織由来間葉系幹細胞の投与によって、放射線皮膚潰瘍の治癒促進効果を検証し新たな治療法の開発を目指すことである。これまで申請者は脂肪組織由来幹細胞がbFGF、 VEGF-Cなどのリンパ管新生因子を分泌することで放射線障害リンパ組織に対してリンパ管新性能を促進することを報告した。間葉系幹細胞が放出するこれらの因子はリンパ管申請のみならず創傷治癒促進にも効果的であり、放射線皮膚障害に対しても有効である可能性を見出した。本研究期間において、放射線皮膚障害ラットモデルを作成し胎盤組織由来間葉系幹細胞を局所投与した。投与後2週間で創傷面積の縮小率には有意差が認められなかった。しかし照射後のラットに死亡が認められるなど結果が安定せず、モデル作成の点で検討の余地があると思われた。創傷面積の縮小率には差がなかったものの、幹細胞投与群で創部に形成された肉芽組織は、非投与群より明らかに良質であり、肉芽組織の質的な差異について病理組織検査で確認中である。
|