2022 Fiscal Year Annual Research Report
褐色脂肪細胞が持つ尿路結石抑制効果の機序解明と新規予防法開発
Project/Area Number |
20K23007
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉野 輝明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (70881746)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 褐色脂肪細胞 / 腎結石 / メタボリックシンドローム / uncoupling protein1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、[1]結石モデルマウスおける褐色脂肪組織の移植による結石抑制効果、[2]ノックアウトマウスを用いたUCP1の機能解析、[3]MetSモデルマウスにおける褐色脂肪組織の移植による結石抑制効果について検討を行う予定である。 [1]5週齢のC57/BL6Jマウスを用いて、①褐色脂肪細胞を除去する群、②除去した褐色脂肪細胞を移植する群、③Sham手術を行う群を用意した。手術後28日目より、これまでに私たちが作成した腎結石モデルマウスの手法を用いて、それぞれ腎結石を作成させた。褐色脂肪細胞を移植した群においては、Sham手術を行なった群と比較して有意に結石形成量が少なく(0.17倍)、腎における炎症性マーカーCcl2、Emr1、Tnf、Spp1の発現が低かった。また、移植群においては腎周囲脂 肪織内に誘導性の褐色脂肪細胞を認めた。 [2]褐色脂肪細胞に特異的なタンパク質であるUCP1が尿路結石の形成に与える影響を調べるために、UCP1ノックアウトマウス(B6.129-Ucp1tm1Kz/J)を用いた研究を行った。ヘテロ遺伝子マウス(Ucp1+/-)を導入し、当学実験動物研究教育センターにて管理・交配させ、雄の野生型マウス(Ucp1+/+)およびホモマウス(Ucp1-/-)が必要頭数得られるまで繁殖させた(各群n=8)。それぞれ8週齢まで飼育し、シュウ酸の前駆物質であるグリオキシル酸(GOX)80㎎/kgを7日間連続 で腹腔内投与し、腎結石を形成させた。欠損型では、野生型と比較して結石形成量が有意に多く(3.28倍)、腎における炎症性サイトカインEmr1、Tnf、Spp1の発現が高かった。また、欠損型では褐色脂肪組織および精巣上体脂肪織において、炎症性細胞の浸潤が強く見られた。 [3]MetSモデルマウス(ob/ob; B6.Cg-Lepob/J)において褐色脂肪細胞が尿路結石の形成に与える影響を調べることで、将来的な臨床応用を目指す予定である。
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