2020 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性がんに対するxCT-ALDH併用阻害治療におけるCOX-2の意義
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20K23009
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大槻 雄士 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (10875412)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | xCT / ALDH / フェロトーシス / cox-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
xCT阻害剤抵抗性癌細胞において、4-hydroxy nonenal(4-HNE)が細胞内に蓄積された際にcyclooxygenase-2(cox-2)の発現が上昇することを以前、我々はマウスモデルにて示唆していた。これに関して、in vitroで数種類の細胞を用いて検討したところ、すべての細胞で同様に4-HNE処理後にcox-2が上昇していることを確認した。また、我々はxCT阻害剤スルファサラジン、ALDH阻害剤オキシフェドリンを同時に用いることで細胞内4-HNEの蓄積を誘導できることを示しており、この併用療法にて4HNE処理時と同様にcox-2の発現が上昇することを確認した。 また、。COX-2のレポーター遺伝子(COX-2プロモーターの下流でmCherry発現が誘導されるベクター) を導入したレポーター細胞の作製にも成功し、この細胞を用いて、in vitro、in vivoの両面でmCherry(cox-2)の発現が上昇していることをフローサイトメトリーにて確認した。細胞は、マウス悪性黒色腫細胞株B16、マウス膵癌細胞株KPCを用いた。このことから同種移植の癌細胞でも、同様のcox-2の上昇が得られることが示された。 さらに、ヒトがん細胞パネルを用いてスクリーニングを行い、一部の癌細胞株にてスルファサラジンとオキシフェドリンの併用により殺癌細胞効果がやや低くなることを確認した。現在、これらの細胞についてそのメカニズムなどを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、cox-2の発現確認とスルファサラジン、オキシフェドリン併用療法の治療効果の乏しい癌細胞株の特定を主に予定しており、これらに関しては、in vitro、in vivoともに上述のように結果を確認することができており、予定通りの進捗であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後に関しては、当初の予定通り、cox-2阻害剤併用時の治療効果の確認と、その分子メカニズムの解明を主に行っていく方針である。 分子メカニズムの解明に関しては、既に仮説の検証を行っており、現時点では計画の変更を余儀なくされる状況ではなく、慎重に実験をおこないつつ得られたデータを検証していく。
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