2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of brain networks involved in exacerbation and persistence of chronic low back pain
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20K23010
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
徳永 亮太 東京慈恵会医科大学, 医学部, ポストドクトラルフェロー (80883959)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 扁桃体 / シナプス可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性疼痛の成立における扁桃体内ネットワークの可塑的変化を解明することを目的をし、以下の実験を行った。扁桃体中心核の主な出力部位である中心核内側部(CeM)に焦点を当て、侵害受容情報や炎症情報を伝達する腕傍核からの入力を受ける中心核外包部(CeC)からの局所回路について検討を行った。扁桃体中心核内においてCeCに限局した発現のあるOxytocin receptorプロモーター下流にCreリコンビナーゼを発現するOXTR-Creマウスを用いて、CeCにCre依存的に光活性化陽イオンチャネル(ChR2)を発現させるアデノ随伴ウイルスベクターを脳内微量注入し、CeCのOXTR陽性ニューロン特異的にChR2を発現させた。4週程度経過した後にFormalineの投与により持続性の炎症を引き起こし、1、3日後に急性脳スライス標本を作製し、CeMニューロンの発火特性と光刺激誘発シナプス応答を記録した。その結果、1)CeCのOXTR陽性ニューロンの光刺激により、多くのCeMニューロンで単シナプス性の抑制性応答が記録された。2)持続的な抑制性入力頻度が光刺激により、減少反応または増加反応を示す細胞が記録された。3)CeM内において、特徴的な発火パターンを示す数種類の細胞群が認められた。 現在、これらの所見において、持続性炎症モデルと対照群において比較検討を行っているところである。今後は、これらの所見が認められたCeMニューロンのそれぞれの投射先ごとに、慢性疼痛のどのような側面とかかわっているのかを検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、慢性腰部痛モデルマウスを作成する予定であったが、COVID-19により、長期に及ぶ慢性実験は困難であった。そのため初年度は持続炎症モデルを用いて扁桃体内のネットワーク解明に向けた実験を行い解析を進めており、予定と比較しておやや遅れている。現在は慢性腰痛モデルの作成プロトコールの最適化をしているため、今後は慢性腰部痛モデルマウスを用いた実験を行い、慢性疼痛における扁桃体中心核の神経可塑的変化のメカニズムを明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度はCOVID-19の影響により、慢性腰部痛モデルマウスの作成に時間を要したため、その神経可塑的変化のメカニズムの検討には至っていないが、現在、投与量、投与のタイミングを調節しており、今後は作成プロトコールの最適化が図られるので、次年度においては、慢性腰部痛モデルマウスを用いた研究を推進していく。慢性腰部痛時の扁桃体中心核の局所回路を検討するが、持続性炎症モデルにおいて既にデータを得ているため、データ取得には問題はないと考えられる。その後は扁桃体中心核から、他の脳領域へ出力するニューロンの役割を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
COVID-19の世界的流行により、慢性実験などの長期継続測定に困難が生じ、またトランスジェニックマウスの維持の規模縮小や、主に海外からの試薬等の納品の遅延により、研究推進に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。今年度は、実験計画を効率的に組み立てており、昨年度に実施予定であった実験を含め、研究を推進していく。
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