2020 Fiscal Year Research-status Report
Novel treatment for peri-implantitis using carbon nanohorns as a DDS carrier
Project/Area Number |
20K23013
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 由佳利 北海道大学, 大学病院, 医員 (40884622)
|
Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
Keywords | カーボンナノホーン / ミノサイクリン / インプラント周囲炎 / 局所薬物送達療法 / 動物実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のインプラント治療において,インプラント周囲炎が臨床における大きな問題となっている.インプラント周囲炎に対する治療としては機械的方法と化学的方法が併用されることが多いが,抗菌薬を感染部位へ作用させるためには一定時間の留置が必要になる.さらに現在汎用されているインプラント表面はマイクロ-ナノ構造を有していることから,より効果的な薬剤の投与方法の開発が期待されている.以上の問題を解決する方法として,CNHsが徐放能を有することに着目し,ミノサイクリン(MC)とカーボンナノホーン(CNHs)の複合体(MC/CNHs)をインプラント周囲炎治療に応用するため,以下の2つを目的とした. 1)MC/CNHsのin vivoでの安全性と効果の検証 2)CNHsへ新たに担持可能な薬剤の探索 1)ラット皮下にコラーゲンゲルに包埋したMC/CNHsを注入し,in vivoでの安全性を組織学的に検証している.安全性が確立された後は,歯周炎モデルラットを使用し,インプラント埋入後にコラーゲンゲルに包埋したMC/CNHsをインプラント周囲溝へ注入,軟組織への効果を組織学的に明らかにする. 2)CNMsが有する薬物担持能に,申請者の発見したMCがCNHsを分散させるという性質を応用し,異なる薬剤も担持させることが可能なのではないかと考えた.現時点では抗菌性に特化させることを想定し,クロルヘキシジン(CHX)・塩化ベンザルコニウム(BAC)等の消毒薬との複合体で,口腔内細菌における抗菌活性について検証中である.そのためStreptcoccus mutansとクロルヘキシジン or 塩化ベンザルコニウムとCNHsの複合体(CHX・BAC/CNHs)の懸濁液による濁度測定により抗菌性を検証している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の進捗状況について,MC/CNHsゲルのラット背面皮下埋入による検証,及びCHX・BAC/CNHsのstreptcoccus mutansにおける増殖度測定等の予備実験的なフェーズは開始できている.現在取得したデータの解析や標本の観察等を行っている段階であり,実験の一次段階はほぼ完了している. しかし昨今の社会情勢の影響で,多人数での動物実験の開催が自粛となっており,一回の動物実験に時間がかかるようになってしまっているため,その部分については進行にわずかに遅延が生じている. また上記理由により学会の開催も縮小傾向であるため学会発表も行えていない状況である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はラットの上顎臼歯を抜歯後にチタンスクリューを埋入した後,インプラント周囲溝にコラーゲンゲルに包埋したMC/CNHsを注入し,in vivoでの安全性を組織学的に検証する. 安全性が確立された後,歯周炎モデルラットを使用し,インプラント埋入後にコラーゲンゲルに包埋したMC/CNHsをインプラント周囲溝へ注入,軟組織への効果を組織学的に明らかにする.また局所薬物輸送担体としてインプラント周囲炎への応用のためにも, FGFやBMP-2等の成長因子の水溶液中に,CNHsを混合することで新たな複合体を作製し,その化学的・形態的物性を明らかにすると共に,細胞培養特性およびin vivoでの効果を検証する.骨増生効果を持った薬剤をCNHsに担持することができれば,炎症により喪失したオッセオインテグレーションの再獲得が可能になる.
|
Causes of Carryover |
当該年度の学会開催が全てweb開催であったため、旅費予算を全く使用しなかった.さらに過密を避けるため、多人数での動物実験が行えず、一回の実験に時間がかかるようになってしまったため、実験計画にも遅延が生じており、物品費が計画していたよりも安価となってしまった。上記2点が次年度使用額が生じた原因と考える。 次年度も旅費予算の使用がないことが予想されるため、助成金の大部分を動物実験に用いる実験動物・インプラントアバットメント・組織薄切及び染色作業の外注、薬剤担持検証実験のためのFGFやBMP-2にあてる予定である。 また次年度終了時に国際論文を1編出す予定であるため、英文校正にも助成金を使用する予定である。
|