2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of periodontal ligament stem cells contributing to the orthodontic tooth movement
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20K23023
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
水越 優 新潟大学, 医歯学総合研究科, 研究員 (20882731)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 矯正的歯の移動 / 細胞増殖活性 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マウス臼歯に矯正力を負荷し,歯根膜組織中において増殖活性が極めて低い幹細胞の同定と,矯正力によって誘導される増殖細胞の解析ならびに長期追跡を行い,組織幹細胞を起点とした歯根膜細胞の分化動態を明らかにすることを目的とする. 今年度は以下の研究を行った. ①歯根膜における低増殖活性細胞(LRC)の検出と特性解析:マウスの臼歯はヒトの歯と同様に歯根完成後には成長を停止することから,本研究ではマウス臼歯を研究に用いる.マウス臼歯歯根膜におけるLRCを,標識物質の腹腔内投与による細胞標識と長期追跡により検出する.LRCにおいてマウス切歯の組織幹細胞で発現が確認されている歯原性間葉マーカーと分化マーカーの発現により特性解析を行い,LRC中の幹細胞を特定する.→歯根膜組織中のLRCの検出を行った結果,LRCはセメント質表面に多く観察された.また歯原性間葉マーカーであると考えられるSox9とGli1, 分化マーカーであるCbfa1 とOsterix についてその発現を分析した. ②矯正力に誘導される高増殖活性細胞(TAC)の検出と特性解析:歯根完成後のマウス臼歯歯根膜の細胞増殖活性は極めて低いことから,申請者らがこれまで用いてきた矯正的歯の移動モデルにより,歯根膜中に増殖細胞を誘導する.増殖細胞におけるTACマーカーならびに分化マーカーの発現により特性解析を行い,TACを特定する.→増殖期細胞中のRing1b陽性細胞率は39.6%,Gli1陽性細胞率は26.5%,分化マーカーであるCbfa1陽性細胞率は26.1%,Osterix陽性細胞率は15.6%であった.増殖殖期細胞におけるRing1bの陽性率が非常に高かったことから,その大部分はTACであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に則り,当初の予定通り以下の2つの研究を進め,データが得られた. ①歯根膜における低増殖活性細胞(LRC)の検出と特性解析 ②矯正力に誘導される高増殖活性細胞(TAC)の検出と特性解析
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画に従い,令和3年度に行う予定である「歯根膜の組織幹細胞に由来する細胞クラスターの分化軌跡解析」を進めていく. 全ての細胞あるいは特定の系譜にある細胞のみを,3色の蛍光によりランダムに標識可能なRGBowマウスを用い,細胞のクラスター解析を行う.RGBowマウスでは細胞分裂によって生み出される全ての娘細胞が母細胞と同じ色の蛍光を発現することから,幹細胞に由来する細胞群の特定と局在,長期追跡による分化軌跡解析を可能とする.
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Causes of Carryover |
当初の計画では野生型ならびに遺伝子改変マウスの実験的歯の移動モデルの解析を中核としたものであることから,スプリングコイル等の実験器材,マウスの購入,ならびに組織解析に必要な経費,抗体,遺伝子発現解析に係わる費用を計上していた.しかし実験器材,抗体等を既に研究室で所有していたものを使用したため今年度の費用も次年度に使用することとした.また新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学会の現地開催が中止されたことで,計画していた旅費を使用しなかった.
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