2020 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックな酸素濃度の変化が口腔がん細胞の代謝に及ぼす悪影響
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20K23042
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠原 優太 東北大学, 大学病院, 医員 (00876477)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 口腔がん / メタボローム / がん細胞の代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちはこれまでに細胞の代謝活性をリアルタイムにモニタリングするシステムを構築し、さらに環境因子の一つであるpHが口腔扁平上皮がん細胞の糖・アミノ酸代謝活性へ及ぼす影響を評価することで、正常細胞とがん細胞の間に違いがみられたことなど、一定の成果を得て報告を行ってきた。本年度は、酸素濃度の影響を調べるための新たな実験システムを立ち上げるため、当研究室で保有している低酸素環境実験システムと前述の代謝活性測定システムを組み合わせた新システムの立ち上げに尽力した。 実際のがん細胞周囲の微小環境をよりの変化として、培養環境や実験環境における酸素分圧などの環境因子や、抗癌剤などの薬剤によるがん細胞の代謝活性への影響を評価するための実験条件の検討などさらなる準備を進めた。また、口腔扁平上皮がん細胞の種類に関してもバリエーションを増やしていくことを検討している。 これまでの実験の結果では、大気環境下と低酸素環境下での細胞の代謝活性を比較すると、その糖代謝に伴う酸産生活性に違いが見られる傾向があった。代謝活性はシンプルな代謝環境だけではなく、その細胞の培養環境によっても左右されることが明らかになった。また、代謝産物について分析を行ったところ、それらについても違いが認められた。これらの結果をふまえて、次年度ではそれぞれの事象についてより詳細な検証を行いつつ、変化した事象に対する原因を究明すべく活性酸素種の関与や、メタボローム的な観点もふまえて追加実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験遂行に必要な環境整備や、細胞の調達などは十分に行うことができた。また、実験データの蓄積についても一定量を行うことができたためこの区分とした。次年度以降では、本年度で得られた実験データについてより詳細な検証を加え、成果発表につなげていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験において、癌細胞周囲の微小環境としての酸素濃度の変化が、口腔扁平上皮癌細胞の糖代謝に及ぼす影響についてデータの蓄積を行うことができた。次年度は、本年度に得られたデータについてメタボローム的な観点や、活性酸素種などの要素を加えた詳細な検証を加え分析を行う予定である。そのうえで、得られた成果を公表できるように努めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルスの影響もあり、学会への参加が中止になったことや、実験が予定していたよりも行えなかったため、当初予算よりも使用金額が少なくなった。
(使用計画)追加実験の為の試薬やディッシュ、データ解析用PCの購入などを予定している。また、研究で得られた成果を公表にかかる費用を予定している。
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