2020 Fiscal Year Research-status Report
HeterogeneousなTi-Fe傾斜拡散層によるチタンの耐摩耗性表面改質
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20K23043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 洋史 東北大学, 大学病院, 医員 (80876475)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | チタン / Ti-Fe / 耐摩耗性 / 表面改質 / 傾斜構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、合金化によるチタンの耐摩耗性改善をテーマに研究を行い、Ti-Fe合金は耐摩耗性に優れることを明らかにした。次いで、鉄を融解せずにチタン表層から熱拡散させ、傾斜構造を持ったTi-Fe合金層をチタンの表面に形成することに成功した。また、この拡散合金層はバルクのTi-Fe合金を上回る高耐摩耗性を示すことを見出した。拡散合金層の表面は、バルクのTi-Fe合金では実現不可能な、鉄濃度が不均一(Heterogeneous)な構造を有し、超硬質と伸びという二律背反する性質を併せ持つ可能性がある。拡散合金層の垂直的傾斜構造と水平的Heterogeneousが高耐摩耗性の謎を解く鍵である。本研究では、チタンに様々な熱処理条件で鉄の熱拡散処理を行い、高耐摩耗性を示した拡散層の構造を三次元的に解析し、表面の超硬質と伸びの共存がどのように実現されているか解明する。また、Heterogeneousな構造の拡散合金層を熱拡散処理により制御可能にする。そして、チタン製医療機器に傷つかない表面を付与するための新しい表面改質法の確立を目指す。令和二年度は、実験環境を整備し、チタン試料の熱処理による作製、熱処理条件の解析、完成した試料の構造解析を行った。その結果、熱処理条件および熱処理温度を制御することで、拡散層の厚み及び表層の鉄濃度をある程度制御できることが分かった。拡散層内の鉄の分布についても解析が進んでいる。今後、機械的性質についての結果を加えることにより、高耐摩耗性を示す拡散層のメカニズムが明らかになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19拡大の影響で、大学への立ち入り制限やリモートワークが推奨された期間が長かったため、当初計画していた実験計画の通りには進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
熱処理を行った試料について、構造解析と機械的性質の評価を行い、その結果を再度熱処理条件にフィードバックする。高耐摩耗性を実現した拡散層の構造を解析し、また耐摩耗性に影響する因子を解明する。これらの結果から拡散合金層を熱処理条件により制御できるようにする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は8,996円であり、ほぼ誤差であると考えます。
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