2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯の発生と分化過程におけるmicro RNAの役割解明
Project/Area Number |
20K23044
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 友昭 東北大学, 大学病院, 助教 (50885530)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 歯の発生 / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
以前の研究により、歯の発生過程において、micro RNA-1(miR-1)が発現していることを突き止め、Connexin43がターゲット遺伝子であり、歯の発生における発現制御機構についても解明した。 そこで、詳細な検討を行う上で、歯の発生段階における、miR-1発現時期の特定を行う事にした。胎生期から生後までの歯胚を回収し、qPCRにて、miR-1の発現を検討したところ、miR-1は胎生16.5日で強く発現し、その後出生後3日で有意に減少したことから、歯の発生初期から中期にかけて重要な分子である事が示唆された。そこで,歯原性上皮細胞株であるSF2細胞にmiR-1に発現ベクターを導入した細胞を作製した。その結果、細胞増殖は通常株と比べ、細胞増殖が抑制された。次に、qPCRによってエナメル芽細胞マーカーの発現を検討したところ、発現量が上昇した。更にmiR-1の細胞内シグナルを検討したところ、PI3KやAKTのリン酸化が亢進した。以上のとこから、miR-1はエナメル芽細胞内にて、PI3KやAKTシグナルを介して、細胞増殖では無くエナメル芽細胞分化を誘導している可能性が示唆された。歯は毛髪と同様に上皮と間葉の相互作用で分化する事が知られており、外胚葉異形成症では毛髪だけでは無く、エナメル質形成不全も見られる。今回、miR-1が歯胚で発現していることが明らかとなったが、毛髪でも発現していると言う報告がある。この事からmiR-1も外胚葉器官の発生分化に重要な役割を占めていることが明らかとなった。
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